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2014-06-04 -(Wednesday)- STAP細胞問題の最終的解決に関する一考察
顕教とは語りうること。
密教とは語られざることです。
これを私は(第一次世界大戦から次の第二次大戦・太平洋戦争に至る旧日本軍の論理を解きほぐした)『未完のファシズム』から学びました。全員玉砕撃ちてしやまんを声高に叫んだ(顕教)旧日本軍も、実は「ソ連極東軍相手であればかろうじてそれを達成しうるだろう」という「暗黙の前提」が密教として存在していたのに、度重なる軍部の派閥の失墜と継承を経た権力関係の再編によって、密教が忘れ去られて顕教で行ってしまったがために悲惨な末期に収束したということです。
- 作者: 片山杜秀
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それを下敷きにして考えてみたいのです。
この場合、顕教は不正研究・捏造のことです。そしてこれは声高に語られてきたことであるし、実際、まさに今、Natureの2本の論文が撤回されようとしており、大きな前進であるといえるでしょう。*1
ただ、これも依然として、完全解明には程遠い。
捏造自体も、一時は学風とさえ言われた、早稲田の学位論文剽窃疑惑の流れがありました。小保方晴子の学位論文も調査と処分の有無がいずれ出るでしょう。
ハーヴァードのチャック・バカンティのSpore like cellという、STAP細胞概念の祖型もある。これも2000年代初頭に報告されて後、再現性がぜんぜんなかったものなのでした。
これら、複数の事件の経緯が渾然一体となっているがために、またいっそうの混乱をきわめることとなっています。
いいかえれば、何がNatureの2本の論文を必要としたのか? なぜ著者たちはNatureの2本の論文を欲したのか?
ぶっちゃけた話、小保方晴子と笹井芳樹と理研について推測と噂をもってしか語られてこなかったこと、それによって本来研究室の長となる、いや、いち研究者としての能力を欠いた小保方晴子という一市民が、不明瞭な力学で研究室を運営する事に至ってしまったという、「それを語ること」自体が極めて政治的に不適切である一連の流れです。
これらのことは報道においてはタブロイド紙の範疇になり、信憑性は疑念がもたれます。だからこそ語られざること、密教だというのです。しかしながら、公式に報道された範囲の事象を考察する、補助線として用いることはできるだろうと思われます。そうして、ぜひとも密教を暴いていく必要があるのです。
まずあきらかに小保方晴子本人に研究能力がない。魅力的であろうがあるまいが仮説をたてるのはよいが、それを厳しい条件検討・対照実験・再現性のもとに確実なデータを得て、しかもそれを適切に実験ノートに記載することを怠っていた。論文の図像は博士論文の使い回し。博士論文の序論は米国保健省の電子化教科書の丸写し。博士論文の図像に至っては企業サイトからのピックアップときたもんだ。同僚と話していましたがみんな頭抱えますよ。俺だって博論Figureがコスモバイオからブッコ抜いたもんだって聞いた時は驚愕しました。「本文コピペしちゃったの……? 図もコピペなんじゃねwwww →マジだ……」
最初、それを理研側は一貫して「未熟」と表現してしまい、その指摘自身は正しいのですが、却って有象無象の大衆の反発を招いてしまった。
理研での採用プロセスもずさんなものであったことが明らかになっている。所内セミナーはなし。英語面接なし。フリーパスです。
あきらかにおかしい。本来、研究の能力、それのみをもって採用の可否が判断されるべきところなのが、そもそも能力がないため、他と比べようもない。であるのに、採用されている。この場合、採用の評価基準がおかしいか、何か「非常なバイアス」がかかっていると考えたほうが、通りがいい。要するに、「個人の一存」であったり、「個人的な感情のもつれ」「どれあい」といったものでしょう。「不適切な関係」を嗅ぎつけるひとがいるのも無理はない事です。
そして、そんな無能な一市民が理研というそれなりに評価された機関において管理職として採用され、雇用が維持されるというのに、Nature論文が1つの号に2本載るというのは確かに十分なものです。
次に笹井芳樹ですが、どうやらとても評価されている科学者だったらしい。実際にCDBの副センター長でもあり、受賞も華々しかった。
噂されていることには次期CDBセンター長となる予定だったのが、この騒動でふいになったといわれている。
また理研それ自身が、国から特別な指定をうけることの内定があったといわれています。
笹井がNatureで全く新しい原理の多能性細胞の立役者であったとなれば、きっとセンター長としての栄華も、理研の特別研究機関としての地位も、盤石だったのだろうというフィクションのドラマをだれでも思いつきそうです。
それが、常に顕教の側である、捏造それ自体の流れと対照して論じられないために、ひとはSTAP騒動の呪縛から逃れられないままいるのかもしれません。
さてこの問題の「最終的解決」に至るみちすじを探っていきたいと思います。これは、ありうべき究明の道筋と、責任に応じた処分の遂行ということになるでしょう。
まず究明ですが、現在理研が中心になっているように見えますが、手ぬるいですね。米国ベル研の捏造事件を追った名著『論文捏造』でも指摘されていましたが、各機関での追求は行われたものの、それを統一して解明するような試みは(著者の村松氏まで)ほとんど出なかったということでしょう。
STAP騒動においてこそこの枠組はぜひとも望まれます。つまり、現状理研内外で進行している検証・改革の試みにとどまらず、ハーヴァード・早稲田・東京女子医大など、関連研究機関全体が連合して、総力を上げて徹底的に事態を暴く責任をこれら研究機関は負うています。
調査とは、そのように徹底したものでなければ、事態は判明しないのだということを、いやしくも科学者であるなら、よく知っているはずなのですが。
次に処分ですが、責任者は免職となるでしょうしそれが当然です。
理研が事態発覚以来奇妙な動きを見せ続けているのは、ビッグネームである笹井をなんとか繋ぎとめようとして、悪手を打ち続けていると考える以外に理解がほとんどできない。間違いは明らかです。そうした間違った、真っ黒な判断が理研側にあるとしか考えられない。
ただ仮に理研が一時的に笹井をつなぎとめようとして成功したとしても、結局は理研は笹井を失うでしょう。ビッグネームが、国外に逃れて研究を継続する例は決して無くはないようです。実際、シェーン事件のバトログも、米国からスイスに移ったのでした。
最悪のシナリオは、この事件に関わった人間たちは上から下までみんなクロで、どの世界線を通っても、全員爆発四散に収束する……サヨナラ!
- 作者: 村松秀
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*1:私は進化生物学者なので思いますが、ぶっちゃけたはなし、酸などの刺激で細胞が初期化するなどあっちゃならんことですよ。そんなレアな事象が、進化の過程で選択されるなど、考えられない。これは結局錬金術なんです。とうていありえそうもないことを観念的に考えてブチ上げた。仮説ですらない。植物のカルス形成とクローン作成は、或る意味で「挿し木」のような過程で数限りなく起きるし、そのために適応的な意義も合理的に理解しうる。しかし、哺乳類細胞でそのような事が起きたら、体のそこら中奇形腫だらけになってしまうでしょう。自然淘汰は神の恵みなのです。