2014年06月05日
個人の遺伝子情報に合わせた薬を処方をする、オーダーメイド医療の時代がやってくる!?
カテゴリ:薬剤師業界の話題
こんにちは!薬剤師ネットのジョンです!
「遺伝子」という言葉ですが、最近一般のニュースでもよく耳にすることが多いのでは?
21世紀は遺伝子の時代と言われています。
先進医療推進における遺伝子治療は、国が力を入れていることもあり、今後薬剤師にとって必須知識になっていくと思われます。
医療のプロである薬剤師として、ぜひ身につけておきたい遺伝子の基礎知識を、今回ご紹介いたしマス!
遺伝子に関する基礎知識
遺伝子に関する基礎知識について、まずはご紹介いたしマス!
私たちの身体は細胞の集まりでできています。
細胞を部屋に例えるなら、その部屋の中に、染色体という箱があります。
さらに、その箱の中にはDNAというハードディスクがしまってあり、
そのハードディスクには「遺伝子」という情報が記録されています。
そして染色体という箱は、ヒトだと46個(46本/23対)あります。
この数は生物によって違っています。
染色体の大半はXの形をしていますが、46個のうちの最後の2個が男女で違います。
女性はXX、男性はXYです。
染色体のセットを「ゲノム」と言い、46個の染色体セットはヒト特有なので、「ヒトゲノム」といいます。
DNA上の遺伝子部分はわずか約2%
病気のなりやすさや、薬の効き目の違いを決めているのは遺伝子であり、DNA上の大部分が遺伝子であると、多くの研究者は考えていました。
しかし、最近の研究で、ヒトでは、DNA上の遺伝子部分は実はわずか約2%にすぎないということがわかってきました。
つまり、DNAのほとんどは、遺伝子ではない部分なのです。
しかも、この遺伝子ではない部分は、高等生物になっていくにつれて増えているのだとか。
下等生物の大腸菌では、ほとんどが遺伝子なのだそうです。
まだ、DNAの遺伝子以外の部分については解明されていないのですが、「ヒトのDNAの遺伝子部分は約2%である」ことと、「高等生物ほど遺伝子以外の部分が多い」ことから、ヒトをヒト足らしめているのは、「遺伝子以外」の部分によるものではないか?と考えられています。
iPS細胞樹立のメカニズムは、遺伝子ではない部分が関与
医療研究では、遺伝子部分がおかしくなることにより、病気を引き起こすと考えられて研究されてきました。
しかし最近は、遺伝子ではない部分がどのように病気に関係しているかを調べる研究が活発に行われてきています。
実は、最近話題のiPS細胞樹立のメカニズムにも、この遺伝子ではない部分が関与していることがわかっています。
遺伝子部分は生まれつきの遺伝的要因に関与しますが、遺伝子ではない部分は環境要因に関係すると考えている説もあります。
この説だと、ヒトの場合は、「遺伝的要因」よりも「環境要因」の方が大切、という可能性も考えられます。
遺伝子情報を得ることで病気予防や、薬の選択など幅が広がる
「遺伝子検査」のあり方も将来的には、変わってくるかもしれません。
「遺伝子検査」というのは文字通り、「遺伝子部分を検査し、病気になる確率を出す」というものです。
最近米国某女優がこの検査を受けて、乳がん・卵巣がんになる確率が大きいと診断され、予防的に乳房切除手術を受けたことが話題になりました。
今度は卵巣も切除するという話です。
それ以来、「遺伝子検査をどれくらい信用すべきか」という社会的議論が巻き起こっています。
今後、「遺伝子ではない部分」と病気の関係が、より解明されていけば、遺伝要因に加え、環境要因も見直してみるという幅広い視点からの病気予防が導入されるかもしれません。
また、遺伝子を調べる事で、各人にあった薬を処方するというオーダーメイド医療という考え方にも影響してくるかもしれません。
まだまだ先の話ですが、個々人が遺伝子の情報を、たとえば腕時計みたいなものに保存して持ち歩き、病院や薬局でそれを提示し、「各個人に合った薬を選択する」という時代がくるのかもしれませんネ!
そのための準備として、今回のお話を頭の片隅に入れておいて頂ければと思いマス。
※今回の記事は、下記の著者の記事を参考にさせていただきました。
著者:宮川 隆
薬剤師ほか第一種放射線取扱主任者など10以上の資格を保有。
現在は、東京大学大学院医学系研究科がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン特任助教
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