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「人口1億人維持」に高い壁 出生数最少102万人

2014/6/5 0:56
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 人口減が加速している。2013年の人口動態統計によると、出生率は改善したが、出生数が102万人台に減り、出生数から死亡数を引いた自然減が23万8600人に増え、6年連続で過去最大を更新した。政府が目標に掲げる見込みの「人口1億人維持」の達成は容易ではない。

 日本の人口は13年10月時点で1億2729万人と、ピークの08年から約80万人減った。国立社会保障・人口問題研究所によると、48年に1億人を割り込み、60年には8674万人と現在の3分の2に減る見込み。

 人口は経済や社会の活力の源。政府の有識者委員会「選択する未来」(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)は5月、50年後に1億人の人口を維持する必要があると提言した。ただ、それを実現するには出生率を30年ごろまでに女性が平均2人強の子どもを産む2.07へ引き上げねばならない。

 13年の出生率は1.43。改善したとはいえ、目標ラインには遠い。小峰隆夫・法政大教授は、出生率の2年連続改善を「出産時期が遅くなる晩産化によるものだ」と指摘。人口を構成する比率の大きい団塊ジュニア(1971~74年生まれ)に連なる30歳代女性の出産が多いが、これらの人の年齢が上がれば改善ペースは鈍るとの見方が多い。

 政府は今月まとめる成長戦略に子育て支援を盛り込む。働きながら子供を育てやすくするため待機児童解消を目指すとともに、第3子以降の出産・育児支援を打ち出す。

 ただ、抜本対策は遠いとの見方が多い。フランスやスウェーデンは予算で国内総生産(GDP)比の3%相当を子育て支援に振り向けているが、日本は現状で1%程度にとどまる。フランスでは、第2子以降がいる家庭に育児休業の所得補償や家族手当を整え、税制上の優遇も手厚い。

 労働力の確保という観点からは出産・子育て対策だけでなく、外国人の受け入れも課題になる。

 都道府県別では沖縄県が1.94と最も高く、宮崎、島根が続いた。一番低かったのは東京の1.13。ただ、人口減の影響は地方でより深刻になる。5月には民間の「日本創成会議」が、40年に全国の自治体の約半数の896が「消滅するおそれがある」と指摘した。

 鳥取県は13年の出生率が1.62と、前年より0.05ポイント上昇。10年から「子育て王国」を称し支援に力を入れる。医療費助成を中学生まで広げ、第3子を産んだ人の保育料軽減や学童保育施設の拡充を実施。今年度からは中山間地域で子育てにかかる費用の半額を負担する試みも始めた。

 沖縄県の出生率は前年に比べて0.04ポイント上昇。もともと全国平均を大きく上回っているが、人口は25年前後をピークに減少に転じる見込み。3月に人口増加計画をつくり、地域で妊産婦を支える仕組みづくりや若者同士の「出会い」の機会の提供に力を入れる。

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