小保方氏、ＳＴＡＰ論文撤回同意も「本意じゃない」検証実験参加するため「仕方なかった」

　理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー（３０）が、ＳＴＡＰ細胞の作製を報告した主要論文の取り下げに同意したことが４日、分かった。補完的なもう１本の論文撤回には既に同意しており、英科学誌ネイチャーが２本の論文を撤回すれば、ＳＴＡＰ細胞の研究成果は白紙に戻る。小保方氏の代理人は「検証実験に参加するために、撤回に同意せざるを得なかった」と背景を説明。一方、理研は「検証実験参加を条件に撤回に同意させたことはない」と話している。

　生物学の常識を覆すともてはやされた研究発表から４か月あまり。「論文を撤回すると、その論文が完全な間違いだったと発表することになる」と撤回拒否の方針を貫いてきた“リケジョの星”が、ついに折れた。

　小保方氏の代理人・三木秀夫弁護士によると、小保方氏は署名入りの同意文書を３日に共著者の１人に提出。この日電話で確認した三木氏に対し、本意ではないとして「仕方なかったんです。悲しいです」と語ったという。

　突然の撤回同意は、弁護団も「寝耳に水だった」。三木弁護士は「さまざまな精神的圧力を受ける中で判断力が低下している。その中で、検証実験をするには同意せざるを得ないという思いに至った」と、小保方氏の心理状態を説明した。

　理研から論文の不正を認定され、共著者の笹井芳樹氏、若山照彦氏も次々と撤回に同意。また、理研の改革委員会の岸輝雄委員長はこの日、これまで撤回に反対していた共著者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授が同意していると、理研から説明を受けたことを明らかにした。

　小保方氏は、理研・野依良治理事長（７５）が撤回勧告したことも重く受け止めたという。三木弁護士は「大企業の社長が平社員に勧告すれば、命令と同じ。弁護団は気にする必要はないと言ったが、本人は非常に気に掛けていた」。

　理研はＳＴＡＰ細胞が存在するかどうか調べる検証実験を進めている。弁護団は「静かな環境で検証実験ができるよう、彼女にチャンスを与えてやってほしい」と、小保方氏の実験への参加を求める考えだが、理研広報室は「検証実験参加を条件に撤回に同意させたことはない。小保方氏の参加が決まったとも聞いていない」と話した。

　小保方氏は４月の会見で「２００回以上、作製に成功した」と説明していた。ただ、科学者の世界では、研究は論文になって初めて成果と認められる。小保方氏はＳＴＡＰ細胞に関する補完的な論文の撤回には既に同意しており、英科学誌のネイチャーが２本の論文を撤回すれば、ＳＴＡＰ細胞の存在は科学的に認められない状態になりそうだ。