G7:露に緊張緩和策要求…ウクライナ危機 首脳宣言採択

毎日新聞 2014年06月05日 11時41分(最終更新 06月05日 13時11分)

ブリュッセルで開幕したG7サミットのワーキングディナーで円卓を囲む首脳ら=2014年6月4日、ロイター
ブリュッセルで開幕したG7サミットのワーキングディナーで円卓を囲む首脳ら=2014年6月4日、ロイター

 【ブリュッセル竹島一登、宮川裕章、斎藤義彦】ロシアを除く主要7カ国首脳会議(G7サミット)は4日夜(日本時間5日未明)、ブリュッセルで開幕し、ロシアにウクライナへの不安定化工作の停止を求める外交分野の首脳宣言を採択した。ポロシェンコ次期ウクライナ大統領の当選を歓迎する一方、ロシアに対し選挙結果を認め、親露派武装勢力がロシアから流入しないよう国境管理を強化し、国境沿いの露軍を撤退させるよう求めた。緊張緩和策が具体化されない場合、対露制裁を強化する用意があると警告した。また、中国を念頭に「東シナ海、南シナ海での緊張を深く懸念」し国際法による平和的解決を求めた。サミットが東シナ海などの緊張に懸念を表明したのは初めて。

 フランスのオランド大統領は4日の記者会見で「ウクライナの緊張緩和のためにあらゆる措置が講じられなければならない。G7はそのための明確な条件を設けた」と述べた。

 外交首脳宣言によると、G7はウクライナ大統領選が高い投票率で実施され、ポロシェンコ氏が当選を決めた点を「成功」と評価。ロシアによるウクライナの主権及び領土の一体性の侵害を一致団結して非難した。ロシアのウクライナ南部クリミア半島の一方的編入を改めて違法と確認し、ウクライナ東部の不安定化工作を含め「容認できず、停止すべきだ」と要求した。

 具体的にはロシアに対し、ウクライナ大統領選の結果の承認▽親露派武装勢力や武器のロシアからの流入阻止▽親露派勢力の武装解除に向けた影響力の行使▽ウクライナの和平や統一、改革への協力−−などを求めた。

 G7は参加国がこれまでに実施した渡航禁止や資産凍結など対個人制裁を確認。ロシアが具体的な行動に出ない場合は、経済制裁など「ロシアにさらなる損害を与える重大な制裁」の用意を表明した。

 G7はまた、ウクライナへの経済支援を明確化。国際通貨基金(IMF)の支援決定や、欧州連合(EU)が近く行う支援国会議を歓迎した。一方でウクライナに対し、ロシア系住民など少数派を尊重する憲法改正や対話の推進など、国内改革を促した。

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