サイバー攻撃:グループメールを悪用 紛れ込み情報収集
毎日新聞 2014年06月05日 11時13分(最終更新 06月05日 12時34分)
中央省庁や防衛関連企業など30以上の団体がサイバー攻撃を受けた問題で、攻撃者がグループメールやフェイスブックを悪用して個人情報を収集したうえで、ウイルスを仕込んだ標的型メールを送っていたことが警視庁公安部への取材でわかった。メールを開封するとパソコンがウイルスに感染し、中国のサーバーに強制接続されることも判明。これまでに重要情報の流出は確認されていないが、公安部は警戒を強めている。
グループメールは、会社の同僚など仲間内だけでメールを共有するサービス。公安部によると、これまでに国家公務員や防衛関連企業の社員などが参加する10のグループ内に、無関係の第三者が紛れ込んでいた。グループ内では仕事や趣味の情報が共有されており、攻撃者は所属メンバーの個人情報を収集し、“標的”を選定していたとみられる。
また、フェイスブックを利用した手口では、攻撃対象者と同じ組織に所属しているかのような架空のプロフィルにし、フェイスブック登録。友達申請を待ち受け、交友関係などの情報を集めていた。攻撃者が作成したフェイスブックの顔写真を公安部が調べたところ、中国語のショッピングサイトに使用された日本人の女性モデルが使われていたケースもあった。
捜査関係者によると、攻撃者は「職業的」な技術をもつ集団とみられ、ウイルスを仕込んだメールは約140通見つかった。公安部幹部は「サイバー攻撃は、ネット上のさまざまなサービスを利用して仕掛けられると警戒してほしい」と呼びかけている。【岸達也】