【ブリュッセル=中山真】日米欧とカナダの主要7カ国(G7)の首脳会議(サミット)が4日夜(日本時間5日未明)、ベルギーの首都ブリュッセルで開幕した。初日の夕食会はウクライナ情勢を中心に議論し、同国の安定化に向けてG7が結束して支援すると確認。外交的な解決が必要との認識で一致した。海洋進出を活発化させる中国を念頭に「威嚇や力による権利主張の一方的な試み」への反対も表明した。
夕食会のあと、サミットで採択する首脳宣言のうち、外交政策に関する部分を発表した。ウクライナ問題をめぐり情勢次第ではロシアへの追加制裁も準備することなどを確認。5月末の大統領選で当選したポロシェンコ次期大統領を歓迎し、経済発展や主権と領土の一体性を支えるため、支援を続けると強調した。
ロシアについては「ウクライナの主権と領土の一体性の継続的な侵害を一致団結して非難する」と明記した。
安倍晋三首相は夕食会で「力を背景とする現状変更は許されず、クリミア併合やウクライナ東部の不安定化などのロシアの行為は許されない」と発言。同時に「ロシアを責任ある国家として国際問題に関与させていくことが重要だ」と対話の必要性を訴えた。
首相は勢力圏の拡大を図る中国を念頭に「航行の自由、空路の自由について発信していく必要がある」とも指摘。「南シナ海、東シナ海では緊張が高まっている。いかなる主張も国際法に基づくべきであり、力による威嚇は認められない」と強調した。
首脳宣言はこれを踏まえ「東シナ海や南シナ海での緊張を深く懸念」し、現状を変更する「一方的な試みに反対」すると明記。名指しを避けつつも、挑発行為を繰り返す中国をG7として初めてけん制し、法の支配に基づく平和的な解決を訴えた。
北朝鮮の核問題も議題に上り、核や弾道ミサイルの開発計画を継続していることへの強い非難を盛り込んだ。国連安全保障理事会の決議などを順守し、すべての核兵器と核・ミサイル開発計画を放棄するよう促した。深刻な人権問題への懸念も示し、拉致問題を含む人権被害に「迅速に対応する」ことを求めた。
イランにも核問題解決に向け、国際原子力機関(IAEA)に完全に協力するよう求めた。
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