フカヒレ漁:反対キャンペーン、批判受け縮小 化粧品会社
毎日新聞 2014年06月04日 11時38分(最終更新 06月04日 13時49分)
化粧品販売のラッシュジャパン(本社・神奈川県愛川町)の「フカヒレ漁反対キャンペーン」が消費者の批判を受け、縮小を迫られている。3日と8日に東京都内の店舗で予定していた「フカヒレ漁の残酷さ」を訴えるパフォーマンスを中止、全国156店舗で販売予定だったキャンペーン用チャリティーせっけんの扱いも約90店に減らしたという。宮城県気仙沼市の水産関係者らが「サメ漁への根拠のないマイナスイメージが広がる」とキャンペーンに反発していた。
同社は先月30日に始めたキャンペーンの目的を「生きたままヒレを切り取り、魚体を海に捨てるフィニングの残酷さを指摘する」と説明。サメ水揚げ日本一でサメ漁を東日本大震災からの復興の起爆剤に位置づける気仙沼市水産関係者は「肉や皮、骨など余すことなく利用する気仙沼のサメ漁まで誤解を受ける」と、同社に表現への配慮を申し入れたが、受け入れられなかった。
同社には、消費者から電話やメールなどで批判が寄せられているといい、同社フェイスブックページにも「被災地が頑張って復興しようとしてるのに、土足で蹂躙(じゅうりん)するのか」など反対する書き込みが目立つ。
同社はウェブサイトなどで「気仙沼のサメ漁に反対する意図はない」と表明。チャリティーせっけん売り上げの寄付先の一つが「あらゆるサメ漁への反対」を掲げる団体の日本支部「パンジアシードジャパン」になっている点については「サメや海の生態系などの研究に使われる予定」と説明している。
ところが同団体は法人格のない任意団体で、サメや海の生態系に関する研究実績もない。ラッシュジャパンは毎日新聞の取材に「アートや音楽などを通してサメの大切さを伝えている団体。研究実績の有無と関係なく判断した」と回答した。
気仙沼サメ漁の国際認証取得に協力する石村学志・北海道大特任助教は「寄付金が研究名目で気仙沼のサメ漁を批判するための視察費用などに使われる恐れがある」と指摘している。【井田純】