改正少年院法:円滑な立ち直り支援

毎日新聞 2014年06月04日 12時29分(最終更新 06月04日 15時47分)

社会に戻る日に向けて授業を受ける愛光女子学園の少女たち=東京都狛江市で
社会に戻る日に向けて授業を受ける愛光女子学園の少女たち=東京都狛江市で

 出院した少年らからの相談に少年院が応じられる制度が、4日の改正少年院法成立により導入されることになった。立ち直りを支えるのは主に保護観察所などの役割とされているため、「これまでは控えめに対応してきた」(法務省幹部)が、社会復帰した少年たちが悩み事やトラブルに直面して少年院を頼ろうとするケースは少なくない。新制度により、矯正施設から社会復帰へのより円滑なバックアップが期待される。

 「話を聞いてくれて、第三者のような立場で助言もしてくれるありがたい存在」。東京都狛江市の女子少年院「愛光女子学園」を近く仮退院する少女は教官に信頼を寄せる。

 遊び仲間らと窃盗事件に関わり昨年、学園に来た。昼夜逆転の荒れた生活は改善し、出院後は定時制か通信制の高校で学ぶつもりだ。アルバイトもしようと考えている。一方で家族とうまくやっていけるか、昔の仲間が現れた時に付き合いを断れるかといった不安もあるといい、「出院と同時に(学園との関係が)途絶えるのは不安。困った時に相談できる制度があれば安心です」と話した。

 少年鑑別所法にも「非行や犯罪防止のため少年や保護者に必要な援助を実施できる」との新たな施策が盛り込まれた。収容少年に対する業務だけではなく、地域や学校からの青少年に関する相談などにも本格的に応じる。

 この新制度を担うポストとして、東京と大阪の両少年鑑別所では4月から「地域非行防止調整官」が新設された。大阪で調整官に就いた法務技官の服部麻理さん(46)は「仕事の範囲を広げて地域社会の非行や犯罪の防止につなげていきたい」と話した。【和田武士】

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