全国の少年院と少年鑑別所に有識者委員会を設置し、運営の透明化を図ることを柱とした新たな少年院法と少年鑑別所法が、4日午前の参院本会議で可決、成立した。
現行法は施設職員の権限や役割が明確でなく、恣意的な運用につながると指摘されていた。新法施行に伴い廃止される。
新法は、職員に少年の身体検査や拘束を認める条件を明記し、弁護士や教育関係者ら第三者の有識者で構成する「視察委員会」が定期的に施設を訪問。必要に応じて少年に聞き取り調査を実施し、施設に改善点を勧告する。
施設の対応に問題がある場合、法相は視察委の意見や施設側の対応を公表する。少年本人が書面で法相に救済を申し出る制度も新設した。
少年の権利も明確化し、法務省令で曖昧に規定されていた外部との通信は、面会を月2回以上、手紙のやりとりは月4通以上を認めた。少年の円滑な社会復帰に役立つと判断されれば、新たに電話の使用も許可する。
少年院法をめぐっては、2009年に広島少年院で複数の法務教官が多数の少年に暴行した事件が発覚し、法務省が全面的な見直しを進めていた。〔共同〕
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