集団的自衛権:政府、唐突な説明 与党は困惑と不満

毎日新聞 2014年06月04日 20時33分(最終更新 06月04日 20時53分)

「安全保障法制の整備に関する与党協議会」に臨む(左から)公明党の井上義久幹事長、北側一雄副代表、自民党の高村正彦副総裁、石破茂幹事長=衆院第2議員会館で2014年6月3日、森田剛史撮影
「安全保障法制の整備に関する与党協議会」に臨む(左から)公明党の井上義久幹事長、北側一雄副代表、自民党の高村正彦副総裁、石破茂幹事長=衆院第2議員会館で2014年6月3日、森田剛史撮影

 集団的自衛権の行使容認などを議論する与党協議で、政府が事前の根回しと異なる説明を突然持ち出し、自民、公明両党が困惑する場面が目立っている。3日の協議では「グレーゾーン事態」で想定外の説明にいらだった公明党が予定していた方針表明を見送った。「本丸」の集団的自衛権で同じ展開を恐れる自民党からは、公明党に配慮して、歯止めとなる指針を自民側から提案する案も出始めた。

 「自衛隊の後方支援を制限しすぎていた、というのは公明党も同じだ。ただ、政府の考えを聞いて『そこまでやるのか』とちょっとびっくりしたようだ」

 与党協議会座長の自民党の高村正彦副総裁は4日、前日の協議で政府が示した「武力行使との一体化」の4条件が、公明党の想定を超えていた、との見方を記者団に示した。

 武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」を巡っては、政府は水面下で公明党に「現行法の運用見直しで対応できる」と伝え、公明党も大筋で容認していた。ところが3日の協議では、政府が法改正や新法制定も視野に入れると説明し、公明党は肩すかしを食った。

 さらに「弾道ミサイル発射を警戒する米艦の防護」の事例で、外務省が「ユニット・セルフ・ディフェンス」という新たな概念を持ち出した。自衛隊と米軍が平時の共同任務中に攻撃された場合、お互いに守り合うことができるという「国際ルール」だと説明した。

 しかし唐突な説明に協議メンバーは困惑。自民党の石破茂幹事長は3日のBSフジの番組で「初耳だった」と明かし、公明党の北側一雄副代表は「政府の説明はどう理解をすればいいか不明なものが多い」と苦言を呈した。

 自公両党からは「政府は誰が何を考えているのか分からない。司令塔不在だ」と不満が続出。集団的自衛権論議の本格化に備え、自民党幹部は「行使容認の歯止めとして、何らかの指針作りを提案することもありうる」と政府に「助け舟」を出す考えを示した。【宮島寛、高橋恵子】

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