国税当局が負け続けている。
相手は、ストックオプション(自社株購入権)で巨額報酬を得た外資幹部、巨大企業の日本IBM持ち株会社、不動産取引で巨利を得た弁護士と元妻の公認会計士……。
注目裁判で負け始めた国税局
かつて国税当局は、国家権力そのものとして君臨。裁判所も国税と同じ国の側に立つものとして判決を下していたので、国税は無敗神話を誇っていた。
だが、証拠捏造事件など検察不祥事が相次ぐなか、裁判所が、脱税事件を仕上げる検察との一体感を見直すようになった。また、裁判員制度の導入がそれを後押し、「起訴状頼みの判決文」といった“悪弊”は見直され、裁判官が自らの頭で判断するようになった。
国税3連敗は、善くも悪しくもその帰結である。
今年1月31日、東京高裁は約1億3200万円を脱税したとして所得税法違反の罪に問われたクレディ・スイス証券元部長の八田隆被告の控訴審判決で、「故意があったと認めるには疑問が残る」として無罪を言い渡した昨年3月の一審判決を支持、検察側の控訴を棄却した。
八田氏は、「会社から支給される給与と同様に、源泉徴取されていると思っていた」と、捜査段階から一貫して無罪を主張。検察側は、「不合理な弁解で、脱税の故意は明らかだ」としていたが、その「故意」を裁判所に認めさせることができなかった。
- 国税3連敗! 注目裁判で当局が負け続ける功罪とは (2014.06.05)
- 山口組・高山清司若頭「上告取り下げ、収監」に安堵する「権力者たち」 (2014.05.29)
- 世界的臨床医・南淵明宏氏が告発「ノバルティス事件、小保方問題、血圧正常値論争の病根は共通。膿を出すのは今」 (2014.05.22)
- 朝鮮総連本部「売却決定」で拉致問題に暗雲――マルナカ説得に失敗した官邸の失態 (2014.05.15)
- ノバルティス事件「高血圧村」の生態と罪に地検のメスが入らない理由 (2014.05.08)
-
伊藤博敏「ニュースの深層」 国税3連敗! 注目裁判で当局が負け続ける功罪とは (2014.06.05)
-
-
-
堀義人「100の行動」【国土交通 その9】 海猿・海上保安庁の能力の抜本的な拡充を! (2014.06.05)
-