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【shi3z日記】いまどきのオトコノコがプログラミングを覚えるきっかけ
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【shi3z日記】いまどきのオトコノコがプログラミングを覚えるきっかけ

2014-06-05 07:12
    shi3zです。

     最近、急に周囲が「プログラミング教育しなきゃしなきゃしなきゃ・・・」と騒ぎ始め、ようやく人類総プログラマー化計画もこの段階まで進んだか・・・とほくそ笑んでいたのですが、なんて言うのかな。いくつか子供向けにプログラミングを教えているイベントに参加して、子供達の笑顔を見つつも、「アレ?こんなんだったっけ?」と思い始めてしまいました。


     というのも、みんな「習い事の顔」をしてるんですよ。


     たとえば、僕の子供の時も、なぜか英語の教室に通わされていて、まあ教室自体も楽しくやろう、みたいなホスピタリティに溢れたりしてるんですよね。

     それで毎週、英語の教室に行っては、帰って来て、「英語楽しかった?」と聞かれ、僕も笑顔で「うん!」と言うわけです。


     エコシステムとして、そういう「お習い事」が一定の価値を持っていることはたぶん間違いなく、親はそういうところに率先して連れて行って子供がそれに興味を持つように「仕向ける」というのが新しい教養を文化として普及させていくときに必要なプロセスの一つであることは間違いないと思います。


     ただ、それって本当に楽しんでるのかな?
     という疑問はあります。

     人間、口でいってることと心で思っていることがちぐはぐになることはよくあることです。


     プログラミング教室をよく見ていると、飽きてつまらなそうな顔をしてる子どももやっぱりいるんです。当たり前なんですけど、そういう子はどう見ても話をちゃんと聞いてない。

     実はどの子も例外なく楽しそうな顔になるのは一回だけ、最初に自分のプログラムが動いたときだけです。目がキラキラ輝き、コンピュータを操る本質的な魅力の虜になります。自分の知らない世界を知ったときの顔です。海を始めて見たときの顔、というのかな。ただ、それを持続できるかというと、強制されると嫌になってしまうんですよね。


     僕も別に英語の教室が楽しいと思ったことなんか一度もなくて、3歳くらいのときから小学校3年生までですけど、もう行くのが嫌で嫌で仕方がありませんでした。けど親は「楽しんで欲しい」と思って高い月謝を払って僕を送り込んでいるわけですから、子供ってそういう親の気持ちを微妙に察してしまって、「楽しかった?」と聞かれれば、わざとらしい笑顔で「うん」と言うわけです。


     もちろんそういう出会いを通しても、本当にその分野の魅力に目覚め、下手したらプロになる人もいると思います。男の子なら水泳とかサッカーとか、女の子ならバレエとかでしょうか。バイオリンやピアノみたいなのもそうかもしれませんね。


     ただねー、よくわからないんですけど、そこにはやっぱり「やらされてる」感みたいなのが一定割合ある気がするんです。


     実際、英語の教室がなんで嫌だったかというと、英語そのものではなく人間関係だったりするわけです。親に作り笑顔で嘘を尽き続けるのが嫌で、3年生の時に理由をつけて辞めました。僕はそんなことをする暇があったらコンピュータでプログラミングしていたかったのです。


     一方、例えばミニ四駆なんかは、子供たちが目を輝かせながらやるわけです。
     それは彼らが自発的にやりたい遊びであり、決して押し付けられる性質のものではないからです。


     それで結局、そういう人たちの中からも、実際に自動車の整備士になったりだとか、自動車メーカーに就職したりだとか、とにかくクルマそのものを好きになって、いつのまにかプロになってた、という人もまた沢山居るんです。いや、もしかすると、ラジコンやミニ四駆に夢中になった人が仕事でなんらかの形で自動車に関わるようになる確率のほうが、高いような気さえします。


     僕は英語を習っていたにもかかわらず、全く言葉がアタマに入ってきませんでした。だから最終的に英語が身に付いたのは大学に入ってプログラミングの勉強を突き詰めて行くと、英語の文献にしか情報が載ってないことがあまりにも多く、その時初めて英語が必要になって、教室とかに通うのすらまどろっこしくて、そのまま書泉ブックタワーに売ってる一冊1万円もする洋書を買って、わからないながらソースコードと照らし合わせて一語一語、辞書を引きながら読んで行ったから多少なりとも英語への苦手意識がなくなり、また仕事で海外の人とやり取りする機会が多かったので必要に応じて覚えた、という感じです。


     僕は良く「Will(意志)」という言葉を使うのですが、人間の意志の力(The power of will)に勝る力はないと思います。


     平たく言えば「やりたい」「知りたい」と本当に心の底から思う衝動です。
     「やらされてる」のでも、「やりたいとアタマで思ってる」よりも、なりふり構わず本当にそれがやりたい、という衝動に突き動かされた時、初めて人間は本来の力を発揮します。


     僕はしばしばそうした衝動そのものを「才能」と呼びます。


     というか、どの分野であっても、その衝動がなければたゆまぬ努力を続けることは到底不可能です。


     ミニ四駆がやりたい!、これはもう本当に衝動そのものです。ミニ四駆を誰かにやらされることはないわけです。


     ただ、その衝動を発生させるためには、まず知ってもらわなくてはなりません。
     ミニ四駆という世界があるのだ、とか、ピアノという世界があるのだ、とか、そういうことを知ってもらうために、お習いごとというものがあるのでしょう。
     

     そこでふと、30歳の増田哲朗に「おまえ実はプログラミングしたことあるだろ?」と聞いてみたところ、


     「まあ、ちょっとエッチな画像とかを、掲示板から引っこ抜いて来るスクリプトなら高校の時に作りましたね。だいたい通る道じゃないですか、それって」


     と言われ、なるほどそうか、と思ったわけです。

     思春期の男の子が持っている性衝動が一種のトリガーとなって、「画像掲示板から画像をいちいちコピーするのが面倒くさい」→「自動化できないか?」→「プログラミングっていうのをやってみるか」というのは非常に自然な流れです。


     この衝動は女の子も同様に持っているはずですが、男の子が直線的に画像収集のような"不健全"な方向性へ自発的に行くのに対し、女の子は「恋愛」という形で、その衝動が発現します。


     これは雄が持つ「一対多への衝動」と、雌の「一対一への衝動」の違いであって、思春期の女の子の何割は若いうちから驚く程「結婚したい」という言葉を口にします。


     これは大人の世界で言われるような安定志向とか、専業主婦願望ではなく、単純に誰か一人の伴侶を得て、心から愛されたいという女性の本能的なものだと僕は思います。


     この欲望は実際に愛されることでしか満たされないので、思春期の女の子が「画像掲示板でエッチな画像を大量に収集したい」→「プログラミングするか」、という方向にはなかなか行かないのではないかと思います。

     多少そういうものに興味はあっても、そこまでではない、というのが本当のところではないでしょうか。
     

     去年、大学が講義をすることになったとき、クラスの大半は女生徒でした。
     女生徒に向けてプログラミングを説明したことはなかったので、どうすれば彼女達の興味を惹き付けることが出来るか考えました。


     そこで最初に「お金」と「結婚」の話をしました。


     お金と結婚がどのようにプログラミングに結びつくか、という話をしたのです。


     経済学部なので、お金には多少なりとも興味があるはずです。
     しかしお金をお金として実現し、紙幣に価値があるものとしている仕組みそのものは、まさしくプログラムそのものです。実際の紙幣に本当は価値なんかないんですから。


     結婚については、プログラミングとは本当に無関係です。
     しかし、結婚の話題を出すことが女性の興味を引き出すトリガーになるのではないかと思い、プロポーズのために専用のプログラムを書いた知人女性の話をしてみました。


     その場はウケたのですが、果たしてこんなことで興味を持続させることができるのか、とずっと思っていたのですが、結局、授業を最後の最後まで聞いてくれたのは、大半が女生徒でした。というか、モグリも含めて女生徒の脱落者が殆どいないまま最後の講義まで進行しました。


     講義が全て終わった後で、生徒に少し感想を聞いてみると、やはり一回目の講義でお金の話をされたことのインパクトが大きかったのだそうです。


     プログラミングを学べば経済的に自立できるかもしれない、とか、素敵な男性に巡り会えるかもしれない、とか、切っ掛けはなんでもいいのですが、本質的に彼女たちがもっている興味や衝動にどうにかして結びつけてあげれば、あとは自発的に学んでくれるということになるのではないかと思います。 


     そして自発的に学ぶこと、つまりwillがあるということはそういうことなのではないかと思います。


     今年もいくつかの学校でいろいろな人にプログラミングを教える機会があるので、どうすればもっと彼ら/彼女らの興味を惹き付けることが出来るか、それを持続させることができるか、考えてみたいと思います。


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    • 2014/06/09
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