栃木小１女児殺害　勝又容疑者、車内にランドセル積んでいた

吉田有希ちゃんの行方が分からなくなった三差路に設置されていた情報提供を呼び掛ける看板を撤去する警官 Photo By 共同

　０５年に栃木県今市市（現日光市）の小学１年吉田有希ちゃん＝当時（７）＝が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された勝又拓哉容疑者（３２）が「騒がれたから殺した」と供述していることが４日、分かった。また、事件の約１カ月後、当時同居していた男性が勝又容疑者の事件関与を疑い、県警に相談していたことも判明。車の中にランドセルを積んでいたと証言している。

　勝又容疑者の供述から事件の経緯が明らかになってきた。「有希ちゃんを拉致した後、当時の自宅（栃木県鹿沼市）に連れ帰った」「（有希ちゃんに）騒がれたから殺した」「茨城県の遺棄現場までの途中の山で刺した」と話しており、連れ去った自宅で騒がれ、山中で殺害したと供述。有希ちゃんは１０数カ所を刺されて失血死しており栃木、茨城両県警の合同捜査本部は、殺害に至る動機を慎重に調べている。

　捜査関係者によると、今市市から茨城県に向かう途中の防犯カメラに事件当時、白いセダンタイプの車が写っていた。映像の解析を進めた結果、勝又容疑者の車と判明したが、車は既に廃棄処分になっていた。

　車内には有希ちゃんの毛髪などが遺留されていた可能性もあり、捜査本部は、勝又容疑者が遺留品の発見を恐れて処分したとみて調べている。

　また、事件当時、勝又容疑者と同居していた男性が、勝又容疑者が連れ去り現場や遺体の遺棄現場の双方に土地勘があったことから、事件に関与しているのではないかと心配になり、事件翌月の０６年１月上旬に栃木県警に相談していた。

　さらに、男性の証言により、事件の１、２年後、勝又容疑者や母親が使っていたワゴン車内に男児用１個と女児用３個の計４個のランドセルが積んであったことも判明した。不審に思った男性が入手先を母親に尋ねると、答えず「これは売るんだ」と話したという。ランドセルは古いものや新しく見えるものがあった。

　勝又容疑者は捜査本部の調べに、有希ちゃんのランドセルは「捨てた」と供述、ランドセルは見つかっていない。捜査本部はこの中に有希ちゃんのランドセルが含まれていた可能性があるとみて慎重に調べている。

　有希ちゃんは０５年１２月１日午後、小学校から下校途中に同級生３人と別れた直後に行方不明になった。翌２日午後２時ごろ、約６０キロ離れた茨城県常陸大宮市の山林で遺体が見つかった。

　≪懸賞金から除外≫栃木、茨城両県警が容疑者を逮捕したことを受け、警察庁は４日、同事件を公的懸賞金（捜査特別報奨金）の対象から除外した。事件解決につながる有力情報の提供者には最高で３００万円を支払うことになっていた。０７年７月に対象となり、毎年延長されていた。