小学校朝礼で児童が大声復唱「まるで居酒屋研修」と批判

　「世界一の朝礼」をテーマに講演活動する会社代表らが、福岡市立小学校２年のクラスの「朝の会」を３月に撮影し、学校に無断でインターネットに投稿した。動画では児童が代表や担任教諭に続いて「スーパーハッピー」「ついてるついてる」などと大声で復唱。「まるで居酒屋店員の研修」と批判が集まり、校長は保護者に騒動を謝罪した。

　代表は居酒屋チェーンを経営する「てっぺん」（東京）の大嶋啓介氏（４０）。大嶋氏の弁護士と校長によると、大嶋氏は担任の女性教諭と知り合いで、教諭が実施する「独自の朝礼」を見学するため、３月１９日に知人らと学校を訪問。撮影し、掛け声にも参加した。校長は出張で立ち会っておらず、教諭は撮影を黙認した。

　大嶋氏と知人は５月までに、動画を交流サイト「フェイスブック」に投稿。閲覧者からは元気の良さを肯定する声があった一方、てっぺんの朝礼に似ているとの指摘もあり、「教育現場に自己啓発セミナーを持ち込むな」「なじめない児童もいる」と批判する声も多数あった。

　大嶋氏らは学校側の指摘を受けて５月２０日に動画を削除したが、一部は動画サイトやネットの掲示板に転載され、その後も閲覧可能だった。校長と教諭はクラスの児童３８人の保護者に謝罪した。

　校長は取材に「掛け声は、教諭が長年の経験でつくり出した。代表の影響を受けたとは思うが、保護者から苦情はなく、取り組みを大事にしたい」と話した。