伊原監督退団…休養も事実上の解任　西武初のシーズン途中交代劇

＜西・Ｄ＞試合後の会見で、無念な表情の伊原監督 Photo By スポニチ

　突然の休養宣言に衝撃が走った。西武の伊原春樹監督（６５）は４日、西武ドームで行われたＤｅＮＡ戦後に会見し、成績不振を理由に休養すると発表した。事実上の退任となる。伊原監督は今季、０３年以来１１年ぶりに西武の監督に復帰。しかし、チームはここまで２０勝３３敗でパ・リーグ最下位に低迷しており、浮上の兆しも見えないことから責任を取った形となる。５日から田辺徳雄打撃コーチ（４８）が監督代行を務める。

　ＤｅＮＡ戦終了後、伊原監督が緊急会見を開き、突然の休養を表明した。決断した時期について「交流戦の巨人戦で１試合目に負けて、２回戦で（９回に）２点リードしていて九分九厘勝てるかなと思ったところ、逆転負けを食らった。どうも僕の勝負運が弱いのかなと」と説明。３日のＤｅＮＡ戦（西武ドーム）後、フロント陣に意向を伝えた。一度慰留されたものの決意は固く、「優勝すると宣言したにもかかわらず、ここまで期待を裏切って、最下位を走ってきている。監督がひけばいい風が吹く」と話した。

　開幕から５３試合目での指揮官交代劇。表向きは「休養」だが、復帰について指揮官は「ちょっと難しい」と発言。会見に同席した居郷肇球団社長も、今季の残り試合を田辺コーチに任せるとし「（どうやって休養を明けるか）今のところはちょっと…」と事実上の退団を示唆した。

　伊原監督は０２年に監督に就任。年間９０勝で２位に１６・５ゲームの大差をつけて優勝した。その手腕が買われて昨年末、１年契約で再就任。「西武は常勝軍団。パ・リーグをけん引しないといけない」と臨んだが、現実は甘くなかった。

　リーグ優勝経験もある功労者を、シーズン序盤で事実上の退任に追い込むのは異例中の異例。親会社の西武ホールディングスが４月に東証１部に再上場したばかり。昨年は球団売却騒動もあっただけに、今季の低迷ぶりはダメージも大きく、今回の休養は親会社の意向が働いた可能性も否定できない。関係者によると、伊原監督は「本当に弱いよ。どうしたらいいのかねえ」と弱音を漏らしており、責任を強く感じていたという。「選手との距離感があったのか」の問いには「それはない。僕は息子、娘がいる。選手と同年代。選手を分かっているつもりだし、ギャップはなかったと思う」と話した。

　選手には、この日の試合後に自ら説明。コーチ陣には「後は任せた」という言葉を残した。西武創設以来、シーズン途中に監督が交代するのは初めて。しかも開幕２カ月あまりで、第２次政権の幕を下ろすことになった。

　◆伊原　春樹（いはら・はるき）１９４９年（昭２４）１月１８日、広島県生まれの６５歳。北川工（現府中東）から芝浦工大を経て、７０年ドラフト２位で西鉄（現西武）に入団。７６年に巨人、７８年にクラウン（のちに西武）に移籍し、８０年に現役引退。通算成績は４５０試合で、打率・２４１、１２本塁打、５８打点。８１〜９９年に西武、００年に阪神、０１年に西武コーチを歴任し、０２年に西武監督に就任。１年目でリーグ優勝を果たした。０４年のオリックス監督を経て、０７年から巨人ヘッドコーチ、１１年は編成本部シニアアドバイザーを務め、１３年１０月２２日に西武監督復帰が発表された。１メートル８３、８３キロ。右投げ右打ち。 【試合結果】