インターネットバンキングの不正送金問題で、全国銀行協会は、被害を受けた法人に補償する方針を固めた。これまで大半の銀行は補償してこなかったが、被害が急増しているため従来の方針を転換する。ただ、補償に応じる際の条件をつける案が出ており、条件が厳しければ一部の法人しか救済されないおそれもある。

 補償の対象を法人にも広げる背景には、今年に入って被害が急増していることがある。

 全銀協によると、ネットバンキングの不正被害は2013年度は1004件、被害額は計約14億2千万円にのぼり、いずれも前年度の10倍程度に増えた。このうち法人は34件だったが、今年1~3月が大半を占めている。1件あたりの被害は約540万円と、個人の約130万円より多い。取引で動かすお金が大きいためだ。多くが中小・零細企業とみられ、被害の影響は大きい。