Think outside the box

Unus pro omnibus, omnes pro uno

法人税と社会保険料に関する奇妙な記事

何だか奇妙な記事がありました。

経済学的には、法人が税や保険料を負担するわけではない。「法人」が税を負担するのではなく、「税の転嫁や帰着」を通じて、暗黙裏に企業の「顧客」や「従業員」「株主」が負担を強いられている。法人は負担分を、消費者価格を引き上げたり、賃金や配当を減少させたりすることで転嫁している。 

第3は、企業にとって最も大きな負担は、労働コストである点である。<中略>「海外への事業展開を計画している企業」(n=342)のうち、生産拠点の移転を計画している企業は、その理由として以下の五つを挙げている。

……

税負担・社会保険料負担は理由の第5位であり、第1位の理由は「労働コスト」である。

サブタイトルには「実は重い社会保険料事業主負担」とあるにもかかわらず、

  • 社会保険料は従業員や株主が負担している
  • 企業にとって最も大きな負担は労働コスト

と、正反対の結論です。また、海外に比べた労働コストを下げる最も効果的な方法は円安ですが、それに関する言及が一切ありません。

企業の貯蓄超過が経済の停滞を招いている時に、法人税減税をする意味の考察を深めてもらいたいものです。