2005年12月、栃木県今市市(現日光市)の小学1年、吉田有希ちゃん=当時(7)=が下校中に行方不明となり、茨城県内で遺体が発見された事件で、栃木県鹿沼市の無職、勝又拓哉容疑者(32)が、栃木、茨城両県警の合同捜査本部に殺人の疑いで逮捕された。台湾人の両親を持ち、母親の偏愛を受けて育ったという同容疑者。自宅からは猟奇的な内容の児童ポルノも発見されたという。
「騒がれたから殺した」。勝又容疑者は取り調べにこう答えたという。「有希ちゃんを拉致した後、自宅に連れ帰り、茨城県の遺棄現場までの途中の山で刺した」と説明。犯行当時の行動についても詳しい供述を始めている。
迷宮入りもささやかれた事件が動いたのは今年1月。栃木県警による別件での逮捕がきっかけだった。偽ブランドのバッグを販売目的で所持していた商標法違反容疑での取り調べ中に、有希ちゃんを手にかけたことを告白した。「遺体は裸で、胸などを特殊な刃物で十数カ所も刺されていた」(捜査関係者)
勝又容疑者は台湾出身の両親の間に生まれ、日本人男性と再婚した母親(55)とともに幼少期に来日、09年に日本に帰化した。有希ちゃんと同じ小学校を卒業、宇都宮市内の中学校に転校するまで連れ去り現場付近で暮らしていたという。
日本語が不自由だったこともあり、小中ともに不登校気味で「からかわれるとすぐにキレて手を出した」(同級生)。義理の父親だった男性(63)は「母親の偏愛を受けて育った。ほしいものは何でも与えられ、自制心のない子に育っていた。パソコンが好きでのめり込み、昼夜逆転の生活だった」という。