昭和三陸津波の記念碑取り壊しへ/三沢
三沢市三川目地区に設置されている、1933(昭和8)年に発生した昭和三陸地震の津波被害を伝える記念碑が老朽化などを理由に今月中にも取り壊される。市は記念碑の銘板を同地区に建設中の東日本大震災記念碑に移設、設置する予定だ。3・11以降、被災の記憶を風化させない取り組みの必要性が全国で叫ばれる中での撤去に、地元関係者からは惜しむ声が上がっている。
昭和三陸地震の津波記念碑は33年11月、計26人が犠牲となった三川目、四川目両地区にそれぞれ建立された。いずれも灯台と、その足元に迫る津波を表現した造形。「地震海鳴りほら津浪」と大書された碑正面の銘板が、地震後の一刻も早い避難を呼び掛けている。
三川目の記念碑を実質的に管理してきた三川目町内会は、10年ほど前から市による改修を求めてきた。
関係者によると、市も当初は原形のまま移転し、改修する方針だった。だが、3・11後の三沢市漁協事務所の移転事業に合わせて、その敷地内に大震災の「津波の碑」を新設、モニュメントに「地震海鳴り—」などの銘板2枚を取り付ける案に転換した。
市は残った記念碑を取り壊すこととし、町内会に提示、同意を得たという。
ただ地元では、取り壊しを知らない住民が少なくない。今年1月に就任した渡辺長一会長も「3月に市の担当者から話を聞くまでまったく知らなかった。別の選択肢を模索したが、時間が足りなかった」と同意が苦渋の決断だったとする。
新設費用が約2500万円に上る一方、市は大震災以前に改修費を約230万円と見積もっており、地元関係者には「少額で済む歳出をどうして惜しむのか」と不満の声も。
これに対し、市生活安全課の向井忠晴課長は「過去の改修では町内会の負担が生じており、改修で市が全額負担するのは難しい」と説明。「(取り壊しは)倒壊の危険性も考慮し、互いの意向をすり合わせた結果」と理解を求める。
被災地での被害伝承を研究している専門家は、取り壊しに慎重論を唱える。
東北大災害科学国際研究所の川島秀一教授によると、大震災の被災地では、過去の被災を伝える倒壊した石碑などを復元し、災害の記憶を残す動きが進んでいるという。「既存の碑を取り壊すのは全国でも例がないのではないか。老朽化しているなら、屋内で横たえて置くなど、現状のままでの保存を検討してほしい」と訴える。
「当時の歴史を知れば知るほど、碑の大切さを強く感じる」と渡辺会長。
市が発行した昭和三陸地震の記念誌編集に携わるなど、地元の災害史に詳しい元小学校長の川村正さん(67)=同市=は「災害の記憶に対する、三沢市民の意識が問われる問題。今後はこういう事態にならないよう、文化財保護の在り方を見直してほしい」と話している。(井上周平)
昭和三陸地震の津波記念碑は33年11月、計26人が犠牲となった三川目、四川目両地区にそれぞれ建立された。いずれも灯台と、その足元に迫る津波を表現した造形。「地震海鳴りほら津浪」と大書された碑正面の銘板が、地震後の一刻も早い避難を呼び掛けている。
三川目の記念碑を実質的に管理してきた三川目町内会は、10年ほど前から市による改修を求めてきた。
関係者によると、市も当初は原形のまま移転し、改修する方針だった。だが、3・11後の三沢市漁協事務所の移転事業に合わせて、その敷地内に大震災の「津波の碑」を新設、モニュメントに「地震海鳴り—」などの銘板2枚を取り付ける案に転換した。
市は残った記念碑を取り壊すこととし、町内会に提示、同意を得たという。
ただ地元では、取り壊しを知らない住民が少なくない。今年1月に就任した渡辺長一会長も「3月に市の担当者から話を聞くまでまったく知らなかった。別の選択肢を模索したが、時間が足りなかった」と同意が苦渋の決断だったとする。
新設費用が約2500万円に上る一方、市は大震災以前に改修費を約230万円と見積もっており、地元関係者には「少額で済む歳出をどうして惜しむのか」と不満の声も。
これに対し、市生活安全課の向井忠晴課長は「過去の改修では町内会の負担が生じており、改修で市が全額負担するのは難しい」と説明。「(取り壊しは)倒壊の危険性も考慮し、互いの意向をすり合わせた結果」と理解を求める。
被災地での被害伝承を研究している専門家は、取り壊しに慎重論を唱える。
東北大災害科学国際研究所の川島秀一教授によると、大震災の被災地では、過去の被災を伝える倒壊した石碑などを復元し、災害の記憶を残す動きが進んでいるという。「既存の碑を取り壊すのは全国でも例がないのではないか。老朽化しているなら、屋内で横たえて置くなど、現状のままでの保存を検討してほしい」と訴える。
「当時の歴史を知れば知るほど、碑の大切さを強く感じる」と渡辺会長。
市が発行した昭和三陸地震の記念誌編集に携わるなど、地元の災害史に詳しい元小学校長の川村正さん(67)=同市=は「災害の記憶に対する、三沢市民の意識が問われる問題。今後はこういう事態にならないよう、文化財保護の在り方を見直してほしい」と話している。(井上周平)
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