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海外バンドの来日はどのように実現する?HCWの舞台裏を探る
インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:田中一人(2014/06/04)
日本にフェス文化が定着し、年中どこかで何かしらのフェスが行われるようになった今も、「夏フェス」という響きが特別であることには変わりがない。特に洋楽ファンにとっては、『フジロック』と『サマーソニック』が行われる7月と8月こそが「フェスシーズン」であるという認識は根強いだろう。一方、フェス以外で近年洋楽ファンにとってお馴染みとなったイベントといえば、『Hostess Club Weekender』が挙げられる。2012年にスタートし、2月・6月・11月に定期開催され、ビッグネームと初来日の若手が共存する、ツボを抑えたアーティストセレクトによって、常に素晴らしい空間を作り上げている。今年もCAT POWERとBLONDE REDHEADをヘッドライナーに6月21日と22日に新木場STUDIO COASTで開催。一足早い夏フェス気分を味わう意味でも、この日を楽しみにしている洋楽ファンは多いに違いない。
CINRAでは昨年ホステス代表のプラグ氏にイベントについてのインタビューを行ったが、今回はイベントに初年度から携わり、『フジロック』や『サマーソニック』などでも海外アーティストのサポートを行っている「サブリンガルサービス」の国分勝也に話を伺った。通訳とコーディネートを基本に、フェスやイベントの制作にも携わり、日本人アーティストの海外ツアーにも帯同する国分氏ならではの、普段は知ることのできない舞台裏トークは興味深いものばかり。そして、『Hostess Club Weekender』というイベントが、日本のオーディエンスだけではなく、海外アーティストからも愛されるイベントであることの理由がよくわかる取材となった。
国分勝也(こくぶ かつや)
高校3年生の夏ごろから、アルバイトとして現在の様な通訳 / アテンド業務をスタート。『フジロック』には1998年の2回目から参加しており、現在はレッドマーキーのステージ通訳を担当。2002年、学生時代の友人達とサブリンガルサービスを設立。サブリンガルサービスでは翻訳 / 通訳 / 制作 / コーディネート / マネジメント / 渉外 といった多岐に亘ったサービスを各スタッフが行っており、その中でもライブイベントの通訳 / 制作をメインに行っている。2004年にはイギリスで行われた、モグワイやトータスがキューレションを務めた『ATPフェスティヴァル』に、envyの通訳として同行。その後もenvyのアジアツアーなどを担当している。『Hostess Club Weekender』ではプロダクション・マネージャーとして2012年2月の第1回目スタート時から活躍している。
Sublingual Services | Communication Coordination
Hostess Club
1年目とか2年目の『フジロック』の通訳は、ほとんど高校の友達だったと思います。僕は1年目はセブンイレブンのバイトが休めなくて行けなかったんですけど(笑)。
―国分さんは高校生の頃からバイトで通訳をされていたそうですね。
国分:僕は4歳から14歳までアメリカに住んでいて、高校は日本のアメリカンスクールに行ったんですけど、そこで一緒にサブリンガルサービスを始めたエイブっていうやつに出会って、そいつの誘いでちょくちょく通訳をやるようになったんです。たぶん、1年目とか2年目の『フジロック』の通訳は、ほとんど高校の友達だったと思います。僕は1年目はセブンイレブンのバイトが休めなくて行けなかったんですけど(笑)。
―(笑)。
国分:高校を卒業してからは、1年間アメリカの大学に行ったんですけど、遊び過ぎて退学になって帰ってきて(笑)。その後は日本の大学に行きながら夏休みに来日バンドのツアーを一緒に回ったりして、卒業するときも就職活動はせず、そのまま今に至ってる感じですね。
―「音楽に関する仕事をやりたい」と思っていたわけですか?
国分:高校のときはバンドでドラムをやってたんですけど、すっげえ下手くそで、何回もクビになってて(笑)。だから、すげえ音楽に興味があったっていう感じではないんです。この仕事をやってるのは、単純に「面白そうだな」っていう。バックステージに行けたりとか、スーツを着なくていいとか、そういうのが大きかったですね。
―サブリンガルは大学出てすぐに立ち上げたんですよね?
国分:今は株式会社になったんですけど、最初はフリーランスの集まりみたいな感じで、その看板が「サブリンガル」だったんです。だから、最初の1年とかは全然金になんなかったですけど、サラリーマンにはなりたくなかったんで、やっぱり「スーツを着なくていい」っていうのがでかかったですね(笑)。
―そんなにサラリーマンが嫌だったんですね(笑)。でも実際、仕事も楽しいわけですよね?
国分:もともと旅が好きなんで、地方に行けたり、打ち上げで美味しいご飯が食べられたりとか、最初はそういう部分ですよね。一緒に回るバンドに関しては、1週間だけの親友みたいな感じで、ツアー中は毎日一緒に行動するわけですけど、その後はそんなにやり取りってしないんですよ。むしろよく一緒に回る日本人スタッフの方が顔なじみになるんで、その人たちと一緒にツアーをするのが楽しいですね。まあ最近はFacebookがあるんで、LESS THAN JAKEとか、MOGWAIとか、THE STRING CHEESE INCIDENTとか、仲良くなってちょくちょく連絡を取るやつもいるにはいますね。
―ホステスとも仕事を通じて自然と仲良くなったわけですか?
国分:プラグとちゃんと喋るようになったのはこの3年ぐらいですね。僕はいつもプロモーター側(イベント制作会社)から雇われるんで、実はホステスみたいなレーベル側とはそんなに関わりはなくて、フェスでちょっと会うくらいの感じだったんですよ。なので、一番最初にプラグから連絡があって、ホステスの仕事としてやったのは、MOGWAIの通訳かな?
―2011年に『Hostess Club』で単独公演が行われた際ですね。それをきっかけにホステスも、レーベルが主催して、イベントをやるようになっていったんですね。
国分:そうだと思います。MOGWAIをやって、その後にプラグから『Hostess Club Weekender』(以後、『HCW』)のプロダクションをやってくれって言われて。2011年は震災の影響もあって難しかったんですけど、2012年の2月に『HCW』の1回目をやりました。
―「プロダクション」っていうのは、具体的にどんな業務を指すのでしょう?
国分:ざっくり言えばイベント制作全般なんですけど、『HCW』の場合プラグが「今回はこの会場で、このバンドが出る」っていうところまでは決めるので、その後のバンドとのやり取りをしつつ、PAとか照明とか舞台周りの日本人スタッフを集めて、バンドの要望と現場をすり合わせていく感じです。
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