By Yuka Hayashi
- シャングリラ会合で外交政策について演説する安倍首相(5月30日)
- Reuters
安倍晋三氏が1年半前に首相に就任して以降、日米関係は熱したり冷めたりと揺れ動いている。安倍氏は、不安定さを増す東アジアにおける安全保障のダイナミクスの中で日本外交のかじ取りに挑んでいる。
米政府当局者は、安倍氏がアジアの安全保障で日本の役割の強化を図っていることを評価する一方、国家主義的にみえる政策アプローチが中韓との摩擦を引き起こしていることに、時に懸念を示してきた。
日米関係は今どうなっているのか。米国有数の日本問題専門家であるマイケル・グリーン氏はジャパン・リアル・タイムとのインタビューに応じ、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議から、拉致被害者の再調査に関する日朝合意に至るまで、最近の日本の外交について見解を語った。グリーン氏はブッシュ前政権時代に国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長を務め、現在は戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア担当上級副理事長。
Q: 米国では現在、アジアの安全保障に対する安倍氏の姿勢はどのようにみているか。
A: アジアの安全保障に対する日本の役割をめぐる米国の考え方は今年変わったと思う。オバマ政権の安全保障当局者は当初、中国が日本を挑発しているのか、それともその逆なのかについて確信を持てていなかったようだ。しかしここ数カ月間に、中国が広範で計画的な安全保障戦略を推進していることが誰の目にも明らかになった。その結果、日本の立場に対する強固な支援が生まれている。
Q: シンガポールでのアジア安保会議についてはどう評価するか。
A: 安倍氏の基調演説は非常に好評だったと、多くの人から聞いた。同会議は、日米にとっても、その他の国々にとっても有用だった。地域の国々が共有する中国に対する懸念が明らかになったからだ。だが、このダイナミクス(中国と周辺諸国との激しい対立)が続けば、日米にとってかなりのリスクになる。次回のシャングリラ会合で、会議をもっと建設的な雰囲気にするためにはどうすべきか、日米が中国と話し合うのも悪くないだろう。
Q: 日本が北朝鮮との間で、拉致被害者の再調査の見返りに日本が対北朝鮮制裁の一部解除に応じる合意が成立したことについては、米国ではどう受け止めるか。
A: 日本では常に、首相がある程度独自の外交姿勢を示すことを求めたがる気持ちがあるようで、日朝合意がそのケースに当たるのかもしれない。拉致問題の解決は正当な人道的な目標である。ただ、米韓は多少神経質になっているように思う。米韓にとっての不安は、北朝鮮がこの問題をどう利用しようとするかという点だと思う。日本は、北朝鮮が日本と米韓を分断しようとしているとみられないように、米韓との協調に細心の注意を払う必要がある。議論されている制裁解除は限定的なものであり、また日本は拉致問題で満足のいく成果がなければ撤回するだろう。
Q: 安倍氏が主張している集団的自衛権はどうして米国にとって重要か。
A: 日米の軍事力の技術的レベルは極めて高い。日本は、米国のミサイル防衛力や米軍への後方支援を補完する能力を持っている。日本が集団的自衛権を持てば、米軍の作戦立案は容易になり、作戦立案者は日本が役割を担っていると確信を持てるようになる。集団的自衛権が認められなければ、中国は安倍氏を孤立させようとし、公明党を安倍氏と対立させようするだろう。
原文(英語):Washington’s Shifting View on Abe’s Foreign Policy
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/06/04/washingtons-shifting-view-on-abes-foreign-policy/
今後の安倍政権はどこを目指すべきなのだろうか?
1. 朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮国)とは、拉致問題、核問題、ミサイル問題の3課題について解決への道筋をつけることが重要である。この3課題が解決に向かうことで米国は朝鮮国との交渉を再開するだろうし、国交樹立、安全保障協定へとつながるからである。
2. 集団的自衛権については、憲法9条2項(自衛隊違憲、存在否定)が存在する限り、空手形となる。小説、ラジオ小説、テレビドラマ、映画等を通じて、憲法9条2項が存在するために日本が滅亡するストーリーを国民に示して、このままでは平和国家が共産党一党独裁国家に衣替えすることになることを国民に示すべきだろう。憲法9条は中華人民共和国の人民解放軍のような知性の無い(国際法を知らない)軍隊には無力である。
3. 自由主義、民主主義の重要性について教育の場においても深く認識させるべきだろう。中華人民共和国や大韓民国による不当な要求や歴史改ざん行為に対する対策は、自由主義、民主主義、合理的な科学主義、客観的な検証主義等の活用が最も効果がある。これらは、中華人民共和国にも大韓民国にも定着していない思想(考え方)であり、この思想をアジア全域に普及させることが、結果的に、日本の国際的な地位を維持し、向上させることにつながるだろう。