STAP細胞:小保方氏、代理人に「STAP細胞はある」
毎日新聞 2014年06月04日 20時53分(最終更新 06月04日 20時58分)
一転して撤回に同意したのはなぜ−−。理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)がSTAP細胞の主要論文撤回に同意したことが明らかになった4日夕、代理人を務める三木秀夫弁護士が大阪市内で報道各社の取材に応じた。撤回の理由について三木弁護士は「本人の精神状態が安定せず、十分な把握はできていない。同意せざるを得ない状況に追い込まれたと思う」と説明した。
三木弁護士によると、小保方氏が同意の文書を共著者の一人に提出していたことは、同日の報道で初めて知ったという。入院中の小保方氏に電話して事情を聴くと、沈んだ声で「仕方なかったんです」と漏らし、「私は何のために頑張ってここまで来たのだろう」「共著者や応援してくれた人におわびしたい」「悲しいです」などと話したという。
ただ、「論文を撤回しても『STAP細胞はある』という事実がなくなるわけではない」とも話したという。
小保方氏は理研から不正と認定された後も「論文を撤回すると、STAP現象は間違いと発表したことになる」と撤回を否定し続けていた。対応を一転させた背景について、三木弁護士は「撤回しないと懲戒解雇され、STAP細胞の有無を調べる理研の検証実験に参加できないと考えたようだ」と明かした。
更に、もう一人の責任著者である米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授や、ノーベル賞受賞者である野依良治・理研理事長の意向も大きかったようだ。
三木弁護士によると、バカンティ教授は小保方氏に電子メールで「白紙に戻すのも一つの道ではないか」との趣旨のアドバイスをした。「バカンティ教授は小保方氏の置かれた状況を常に心配していた。彼の意向が伝えられたことが、撤回を決意した理由の一つだったのではないか」と三木弁護士は語る。
また、5月8日に論文の不正認定が確定し、野依理事長が撤回を勧告したことも重く受け止めた様子だったといい、「精神的圧力を受け、判断能力が低下しているようだ。弁護団としては今後、検証実験への参加などをサポートしていきたい」と話した。
【畠山哲郎、吉田卓矢】