国際【早読み/先読み アメリカ新刊】日本軍の捕虜となり、虐待に耐え抜き帰還した「アメリカン・ヒーロー」+(5/5ページ)(2011.8.6 12:00

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【早読み/先読み アメリカ新刊】
日本軍の捕虜となり、虐待に耐え抜き帰還した「アメリカン・ヒーロー」

2011.8.6 12:00 (5/5ページ)早読み/先読み アメリカ新刊

 そのためか、この本の書評を書いたほとんどの評者は、「まるで映画を見るような描写」(ニューヨーク・タイムズ・ブック・レビュー)、「宝石商が宝石を鑑定するような著者の筆致」(ニューズウィーク)と、文章力の称賛に終始している。また「英雄」としてのザンペリニに惜しみない拍手を送っている。アメリカ人にとっては、ちょうど日本人が司馬遼太郎の「坂の上の雲」に出てくる滅私奉公の軍人たちに涙するのにも似た感情なのだろう。ひと言で言えば、お国のために肉体的にも精神的にも極限状態にまで追いやられた兵士の言動がアメリカ人の心の琴線に触れているのだろう。それが爆発的に売れている理由だろう。

 日本人の心情にも精通している米ジャーナリストのピーター・エニス(「The Bottom Line」編集主幹)はこう見ている。

 第二次大戦はまさに書き手にとっては宝の山。題材が埋もれている。確かに日本軍の捕虜収容所の実態が生々しく描かれているが、この本が売れていることと『反日』とはそれほど関係があるとは思えない。この本は、一個の人間としてのザンペリニの生き様を人気作家が書いたことが売れている理由だと思う」

 この本が邦訳され、多くの日本人が読んだ時、どのような印象を受けるか。

 たった60数年前に日米が敵として戦った第二次大戦。その記憶を一人一人がどう咀嚼しているかで、印象も変わるはずだ。(高濱 賛)

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