ぜいたくの定義を変えるバンカーの暮らし-不平等は世の現実
6月3日(ブルームバーグ):自宅のバスルームに関してジェイ・ドウェク氏が野心的なのは浴槽脇のテレビ設置でも、トイレに座れば対面で見られるスクリーンでも、3台目をシャワー室に置くためのスペースでも、シンクから見えるもう一台でもない。近くを通れば自動的にスイッチが入るという計画でもない。
ゴールドマン ・サックス・グループやモルガン・スタンレーで幹部を務めた経歴を持つドウェク氏の野望は、ニューヨークから北に車で1時間のベッドフォード・コーナーズにある480万ドル(約4億9000万円)の自宅で行ったリフォームのやり方をバンカーに売り込むことだ。
ドウェク氏(58)は自宅にあるバイオリンの形をしたプールの近くで、「自分に何ができるのかいつも夢を持ち、ビジョンを描いてきた。それを実現したのがこれだ」と話した。プールでは約5600本のファイバーケーブルが何色ものバイオリンの弦のように光を放っている。「テクノロジーを使って生活の質を上げる。それが私の考えだ」と同氏は付け加えた。
こうして5月にリブ・ベター・システムズという会社を登記した同氏のほかにも、「もっと良い暮らし」を掲げてウォール街出身者が事業を始めた。貧富の差拡大を分析したフランスの経済学者トマ・ピケティ氏の著書がベストセラーになる中、元バンカーらは自分たちの生活の質改善は金持ちの道楽ではないと主張する。イノベーションであり、それが広がっているのだという。
5000万ドルのペントハウスニューヨークのイーストビレッジで5000万ドルのペントハウスを売ろうとしているデロス・リビングの創業者、ポール・シアラ氏も「ブランドを立ち上げると同時にムーブメントを起こしている」と話し、「建物の環境面への注目があっても、そこに暮らす人間の部分に対しては十分ではなかったと思う」と述べた。このペントハウスは姿勢を良くするため床にコルク材が敷き詰められ、清浄機を通した空気が流れ、抗菌の塗装が成されている。
シアラ氏(40)はゴールドマンで米金利商品のキャッシュトレード担当共同責任者を務めていたが、双子の兄弟ピーターとデロスの事業を大きくするため昨年退社した。同社ウェブサイトによれば、「健康を最適化する環境づくり」が売りだ。ニューヨークの東11丁目で販売した2物件は俳優レオナルド・ディカプリオと作家ディーパック・チョプラ氏が購入。両氏はデロスの顧問委員会メンバーだ。
破綻したリーマン・ブラザーズ・ホールディングスでバイスプレジデントを務めていたモニカ・カークナー氏はドット・コムではなく、ドット・ラグジュアリーのドメイン販売を手掛ける。社名もドット・ラクジュアリーでビバリーヒルズを本拠とする同氏は顧客ターゲットを「超富裕層から中間層まで」幅広いと話すが、サイト上の「ドット・ラグジュアリーにようこそ。お待ちしていました」との歓迎メッセージの上にはヨット上で歯を見せて笑う女性の写真が掲載され、前者寄りに見えなくもない。
「不平等はこの世の現実」もっと露骨に金融業界の金持ち向けビジネスだと話す者もいる。ゴールドマンを昨年やめたセルジュ・マルキー氏がそうだ。夫人のサリー・ウィルキンソン氏と始めたE-セップの事業は、ナパバレーの高級ワインを瓶詰めされる前にあらかじめ決めた価格で買える権利の販売。この取引の相手は「バンカーやヘッジファンド関係者」だという。
ウィルキンソン氏は以前はUBSでエコノミストを務めていた。ピケティ氏がベストセラー「Capital in the Twenty-First Century(21世紀の資本論)」で分析した富の蓄積がビジネスチャンスを生み出していると話す。「信じられないほどの不平等があって、最高級の市場には信じられないほどの需要がある。それがこの世の現実だ」と発言。夫のマルキー氏も「資本を持つ者がこれをできるだけ有益にすることが重要なのだ」と語った。
原題:Violin Pools Beckon as Goldman Alumni Seek Upgrades toGood Life(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Max Abelson mabelson@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Peter Eichenbaum peichenbaum@bloomberg.netRobert Friedman, David Scheer
更新日時: 2014/06/04 06:31 JST