【動画】新たに確認されたブナの自生地=堀英治撮影
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 北海道南部の黒松内低地帯とされてきたブナ自生地の北限が、さらに12キロ北にあることが、森林総合研究所北海道支所の田中信行地域研究監(森林生態)らの調査でわかった。新たに見つかったのは直径約70センチのブナを中心とした約40本の小さな個体群。田中研究監は「北限のブナが分布拡大の途上にあることがはっきりした」として、温暖化との関係にも注目する。

 新たな個体群が見つかったのは、ニセコ山系に連なる日本海に近い雷電山の中腹(蘭越町と岩内町境の標高約625メートル付近)の北斜面。林と呼ぶにはまだ小さな群だが、約1ヘクタールの範囲にブナがばらばらに生え、大きさもまちまちであることなどから、自然に生えたものと判断した。田中研究監は「カケスなどの野鳥が種子を運び、育ったブナが実を結んだ後、その実から育ったブナたちが個体群を形成した」と推測する。

 田中研究監は昨年10月、地表を覆うササをかき分けて林の中に分け入り、約10本のブナを発見。今年4月の残雪期には、黒松内町ブナセンターの斎藤均学芸員らと2日かけて再調査し、ブナ41本(直径約3~70センチ)を確認した。ブナが芽吹く5月中旬には小型飛行機に乗り、若葉の色の違いから小集団の存在を再確認した。