与党協議:「戦闘地域で後方支援」 政府が問題提起へ
毎日新聞 2014年06月03日 07時30分(最終更新 06月03日 08時36分)
政府は2日、国際協力分野での自衛隊の活動見直しについて、国連安全保障理事会決議に基づく多国籍軍への「後方支援」を行う場合、戦闘地域であっても他国の武力行使と一体化しない活動については解禁するよう与党に提起する方針を固めた。医療や輸送活動などを想定している。
一方、武器・弾薬の補給、戦闘機への給油については他国の武力行使と一体化する恐れがあり、憲法に抵触しかねないため、これまで通り認めない方向だ。
政府は、3日に開かれる「安全保障法制の整備に関する与党協議会」でこうした方針を示す予定。安倍晋三首相は国会で「何が一体化する行為なのかを明確化し、どのような支援が可能なのかを検討すべきだ」と述べており、政府内で検討を進めていた。
政府が想定しているのは、多国籍軍が国際法に違反した国に武力制裁するケースだ。政府が5月27日の与党協議で示した15事例に含まれており、政府は「戦闘地域」でも負傷兵員への医療行為▽戦闘行為にかかわらない拠点間の兵員輸送▽食料補給−−などであれば、自衛隊が行ったとしても、他国の軍隊の武力行使と一体化しないと判断した。
自衛隊は多国籍軍に「参加」できないが、武力の行使と一体化しない範囲で「協力」はできるとした従来の見解を踏まえ、活動の範囲を限定的に広げる見通しとなった。しかし、戦闘地域での活動を解禁することについては「自衛官の命が、危険にさらされる恐れが格段に高まる」(公明党幹部)として慎重論も根強い。
政府はこれまでイラクへの自衛隊派遣などで「非戦闘地域」に限って自衛隊を派遣してきた。政府は、非戦闘地域を「現に戦闘が行われておらず、活動期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる」地域と定義してきたが、「現実的ではない」などとして批判されてきた経緯がある。【青木純】