安保与党協議:政府「非戦闘地域に限る」制約解除の方針
毎日新聞 2014年06月03日 11時40分(最終更新 06月03日 13時07分)
政府は3日午前の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」(座長・高村正彦自民党副総裁)で、過去の自衛隊の国際協力で「活動は非戦闘地域に限る」としてきた制約を外す方針を示した。その上で自衛隊の後方支援活動について、憲法9条解釈で禁じられている「他国の武力行使との一体化」の範囲を限定する新たな4条件を提示。戦闘地域でも自衛隊の後方支援を可能にする狙いだが、公明党幹部は「戦闘地域での戦闘以外は何でもできるようになる」と否定的な考えを示した。
政府は協議で、法整備などの対応が必要とする15事例のうち、日本への武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」3事例▽国連平和維持活動(PKO)などの国際協力4事例−−で、政府が想定する方向性を説明。国際協力の「国連安保理決議に基づき、侵略行為を制裁する多国籍軍の武力行使への支援」の説明で、内閣法制局が1997年に示した後方支援の可否を判断する「一体化」4条件をさらに具体化する方針を示した。
政府側は、過去の自衛隊派遣で設けた非戦闘地域について、今後は「自衛隊の活動範囲を一律に区切らない」と明言。新たな4条件として、(1)現に戦闘中の他国部隊に対し(2)戦闘に直接使う物品・役務を(3)他国部隊が現に戦闘中の現場で(4)戦闘行為と密接な関係がある−−を全て満たした場合だけ、自衛隊が支援できないとする案を示した。これに対し、公明党は武器・弾薬の補給、医療、輸送など具体的な支援の範囲を示すよう要求した。
また政府は「駆け付け警護」「外国でテロなどに巻き込まれた邦人の救出」の説明で、憲法解釈で禁じられている「国または国に準じる組織」への武器使用という基準は「認定の方法を変える」とし、制約を事実上緩和する考えを示した。
一方、公明党はグレーゾーン事態のうち離島での不法行為の対処、公海上の日本の民間船への襲撃対処の2事例を、現行法の運用改善にとどめて大筋容認する調整に入っている。この日の協議で政府は、あらかじめ閣議決定し、自衛隊が迅速に対処できるよう海上警備行動を発令しておく▽閣議決定を閣僚が電話で済ませられるよう手続きを簡素化する−−案を示した。ただ、政府は自衛隊法などの改正や新法制定も否定しなかったため、公明党は回答を見送った。