自衛隊の後方支援拡大:政府、人道的側面を強調

毎日新聞 2014年06月04日 01時02分

 政府は3日の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、自衛隊の国際協力活動に関して、「非戦闘地域」に活動を限定している現在の仕組みを改め、戦闘地域でも多国籍軍の後方支援などを認める案を提示した。新たな「4条件」をすべて満たす場合のみ、憲法が禁じる「武力行使との一体化」に当たるとした。自衛隊の海外での活動を大幅に緩和する大転換で、自衛隊の活動が武力行使と見なされかねない危険な活動を認める内容だ。

 「非戦闘地域、後方地域など地理的な概念は今後取らない」。政府高官は与党協議で、政府の15事例のうち国際協力分野の「侵略行為を制裁する多国籍軍の武力行使への支援」について説明。戦闘地域の活動を解禁する案を示した。

 政府高官はさらに活動が「武力行使との一体化」で違憲とされるケースとして、(1)現に戦闘中の他国部隊が対象になる(2)戦闘に直接使われる物品・役務を提供する(3)活動場所が、他国部隊が現に戦闘中の現場にあたる(4)活動が戦闘行為と密接な関係がある−−の4条件を示した。内閣法制局が1997年に国会で答弁した4条件を具体的にしたもので、「一つでも条件が欠ければ一体化には当たらない」と解釈する考えも示した。

 政府は戦闘地域の医療・輸送支援などを解禁し、武器・弾薬の補給は一体化に当たるため行わないと想定。特に人道色の強い医療支援を強調し、公明党の理解を得たい考えだ。

 これに対し、公明党幹部は「米国が戦争を始め、補給や医療をやってくれと頼まれたら断れない。自衛隊が活動中に攻撃されれば応戦せざるを得ず、結局、戦闘と一体化する」と危うさを懸念する。自民党内でも「政府の論理は緻密でない」(別の幹部)と批判的な見方が出ている。

 一方、自衛隊が「国または国に準じる組織」に襲撃され、武器を使用した場合に「海外での武力行使」と認定される恐れがあることから、政府高官は「国または国に準じる組織」の定義を改め自衛隊が武器を使用できる対象を緩和する考えも示した。【笈田直樹、高本耕太】

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