ヤフー、「シリコンバレー現法設立」の算段

米ヤフーのお膝元でベンチャー企業を青田買い

坂本執行役員が米国現地法人の社長に就任(撮影:谷川真紀子)

日本時間の6月4日、ヤフーは米国現地法人「YJ America」でサービスを開始する。同社は2013年12月に設立されたが、これまで存在が明らかになっていなかった。

登記上はワシントン州シアトルを本社とするが、活動拠点は親会社ソフトバンクのシリコンバレーオフィス(カリフォルニア州サンカルロス市)に置く。言わずと知れた起業家のメッカで、米国のベンチャーやスタートアップ企業を発掘し、日本進出を支援する。

ヤフーはソフトバンクが36%、米ヤフー・インクが35.1%の株式を握る、“準米国産”企業だ。そのため、米ヤフーにとって、日本のヤフーは日本法人の位置づけとなる。その日本法人が米国に法人を設立することは、一見不可思議に見える。なぜ、日本のヤフーは米国に拠点を設けるのか。

世界一流のサービスと手を組む

「これまでヤフーにおける米国企業との連携は、ほかの日本企業と同じスタートラインに立っていた。しかし、これからは米国企業に他社より一歩先に入り込んで交渉したい」

こう語るのは、YJ America社長に就任する坂本孝治氏だ。サウジアラビア生まれで早稲田大学理工学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。その後ネット企業のエキサイトを経て、2009年にヤフーに入社。2014年3月末までヤフオク!カンパニー長兼執行役員を務めていた人物だ。英語を使ってシリコンバレーで仕事をしていた商社時代の経験が、米国法人社長への抜擢の背景にある。

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