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2014年下半期にヒットしそうな5つのテクノロジー
- Jun 3, 2014
2014年も既に6月に入り、いよいよ下半期にを迎えようとしている。毎年恒例のAppleの関連製品についての開発者会議であるWWDCが開催され、サンフランシスコはその話題で持ち切りである。さて、このタイミングでこれから下半期に流行りそうな5つのテクノロジーを紹介していきたい。
1. 無人飛行機「ドローン」の台頭
無人飛行機「ドローン」関連のサービスが登場し、モノや情報は陸から空へと移り始めるであろう。アマゾンが昨年末、「Amazon Prime Air」という商業用小型無人飛行機による宅配サービスを2015年から始めると発表したのは記憶に新しい。ドローンのメリットとしては、今までコスト、または配達ルートの都合上即日配達を見送っていた地域に低コストかつ迅速に商品を配達できるという点にある。
もともと無人飛行機「ドローン」というのは軍事用に開発が続けられていたが、コンシューマー向け市場へのハードルを下げたのがフランスのパイロット社が開発したAR Droneと呼ばれる、スマートフォンアプリを利用し遠隔で操作できる無人小型飛行機であった。このようなサービスの登場は言い換えれば、商業化に向けての技術はほぼ整いつつあるということを意味している。
商業化への問題は技術的なものより法整備上によるものである。アメリカ国内では無人飛行機の利用が認められているのは警察や消防及び政府機関などの公共サービスに限られており、一般のビジネス向けの利用は未だ禁止されている。ビジネス向けに法律が制定されるのは早くても2015年の後半と予測されている。
未だ無人飛行機市場は解禁されていないが、2025年までに市場規模は8兆円を超えることが試算されており、今後多くの企業がこの分野に進出するのは必至であろう。先ほど紹介したアマゾンがドローンの導入を検討していることから、同業他社である大手Eコマース企業の参入も十分に考えられる。また、ドローンを利用した新たなWifi環境整備も行われるであろう。いづれにしても、本格的な無人飛行機市場が解禁されるのが2015年からと予測出来ることから、解禁前の今年度から無人飛行機ビジネスに関する多くのニュースが伝えられると思われる。
2. ビックデータの需要加速
新たなハードウェアの登場と共に、ビックデータの種類も増加し、その需要も加速するであろう。昨年、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために乳房を切除したというニュースが紙面を賑わせたが、これも医療向けに使われたビックデータによるものである。
現在、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル系を中心にデータが蓄積され、それがビジネス向けに売買されるというモデルが増えて来ている。今後、Google GlassやAppleから発売が期待されているiWatchなどのウェアラブル端末が増えてくれば、これまでのモバイル端末からのビックデータとはまた違った形で得られた情報のやり取りも増えてくるだろう。
ここで注目すべき点はプライバシーに対しての問題である。異に日本は個人情報、プライバシーに対しての障壁は欧米と比べて高い。欧米は比較的自由にビックデータを扱う事ができ、問題が起きたら対処するという形式が一般的である。そのため、それたを扱う企業にとっては参入障壁は低いと言えよう。一方、日本ではビックデータを集められること自体がタブー視されている傾向にある。2017年には世界のビックデータ関連市場規模は4兆円以上に達すると見込まれており、このような日本の文化的障壁は、日本のビックデータ市場参入に遅れを生じさせることになりかねない。
日本がビックデータ市場において遅れを取る可能性を指摘したが、世界的には急成長している分野であるため、今後ビジネスチャンスが多く出てくるのは必然であろう。また、データサイエンティストなどの分析を専門とする人材に対しての需要も増えるため、ウェアラブル端末を通じてどうやってビックデータが使われるのかという点と同時に、人材の需要に対しても注目していきたい。
3. ヘルスケアの進化
ウェアラブル端末の普及により、ユーザーの健康情報が即座に共有されるようなサービスが増えるであろう。例えば、WWDC 2014にてAppleがリリースしたHealthbookというサービスが挙げられる。これはユーザーの運動量、栄養摂取状況などの健康状態のデータを随時ユーザーに共有するというものである。このサービスは発売が期待されているiWatchとリンクするという可能性も十分にあり得る。
またダイジェスティブルセンターと呼ばれる、カプセル型のセンサーの開発も盛んである。患者がセンサー付きのカプセルを飲む事で、体内情報が的確にかつ瞬時に患者のモバイル端末に伝えられるというものである。今後、このような医療技術とモバイル端末やウェアラブル端末とのリンクが多いに期待できるであろう。
マイクロチップの技術も確立されつつある。未だ臨床段階ではあるが、前述のカプセル型のセンサー同様に、皮膚にチップを埋め込むことで、モバイル端末などとリンクし、患者に健康情報を伝えるという技術の開発が進んでいる。
今年度はAppleのような大手企業がヘルスケア部門に参入すると発表したこともあり、ヘルスケア元年とも言えるであろう。今後は大手のみならず、スタートアップなど多くの企業が参入し、市場規模が急拡大することが見込まれる。
既に具体的に発表されているものの1つとしては、先日、日経産業新聞で弊社代表が紹介してた Beam Brushなどのプロダクトがある。今後はこれまで医療機関でしか利用できなかったようなヘルスケア関連デバイスの一部の機能が一般消費車でも手軽に利用可能になるであろう。
4. 3Dプリンティングによるユニークな製品の登場
かつて3Dプリンティング技術は大手企業向けのものであったが、今後は中小やベンチャーにも多く使われ、数多くのユニークな製品が登場するであろう。例えば、ホリエモンこと堀江貴文氏が紹介したことで人気の出た6秒で完璧な歯磨きができる「3Dプリントの歯ブラシ」が挙げられる。これは歯科医が撮ったスキャンデータを基に生産される歯ブラシであり、わずか6秒で歯磨きが完了するというものである。
この3Dプリンティング市場の課題は、プリント用の機材を導入するのに多大な費用がかかるという点にあった。しかし、その市場が成長し、機材導入の機会が増えれば、市場原理に沿って導入コストも下がるであろう。たとえ、3Dプリンティング系ベンチャーなどの資金的な制約のある企業であっても、大手が機材を貸し出すというパターンも今後現れることが予想できる。
3Dプリンティング市場は2016年度までに3000億円の市場規模になると言われており、今年度からさらに3Dプリンティングを利用した製品が登場するのは必至である。またこの分野の製品の特徴でもある、個人に合わせたユニークな製品が登場するであろう。今後どのように活用されるのかも期待できる分野であるため、これからも注視していきたい。
5.「自動運転技術」による新ビジネス
Google、Intelやトヨタなどの大手企業を中心に自動運転技術、特に自動運転車の開発が盛んになるであろう。最近では、Googleが自動運転車の試作車を公開した。また、先月にはIntelが自動運転技術のために必要な半導体開発のために、日本のベンチャー企業、ZMPに出資したのも記憶に新しい。この自動運転技術開発の最大のメリットは事故の確立を格段に減らせるというものである。
前述したGoogleの自動運転車市場への参入の理由は、自動運転技術の確立のためのOS開発があるからである。一度、OS技術が確立すれば、現在のモバイル端末のように、OSに合わせて開発がなされる。言い換えれば、OS技術を所有するGoogleが市場の主導権を握り、実際に機器を開発する自動車企業がそれに従うという自動車市場にとっては全く新しいビジネスモデルになるのである。
今後、先に述べたIntelの日本企業への出資のように、OS開発のためのベンチャーへの出資が増えてくるであろう。また、乗車中にできた空き時間を楽しむためのエンターテインメント、または自動運転車に則したハードウェア端末の開発なども進むと予測される。そして、この自動運転技術を使って車いすへの応用なども期待できるであろう。これから自動運転技術開発のためのベンチャーへの出資を中心として、大きめのニュースが取りざたされるのは間違いないであろう。
まとめ
2014年の上半期の時点で既に多くのテクノロジーが発表されているが、下半期は実際に多くのシーンにてウェアラブル端末が導入されると共に、ヘルスケアサービスなどの外部サービスとのリンクが始まり、そしてそのサービスを経由して集められる様々なデータが活用され始めるであろう。
また、ドローンや自動運転技術などの大規模な技術が確立され始める年でもある。いづれにしても、新たなプラットフォームと成り得る技術躍進が今後始まり、それに伴うサービスのリリース、データの活用が期待できる下半期になると予想される。
photo by Jeff Stvan
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