2007年12月04日
義経は海を渡った
鎌倉の源頼朝は天下を獲ったものの、弟義経の存在に脅えていた。義経は都の人気もある。なによりもその軍事的才能に嫉妬していたのだ。それを察知した義経一向は奥州平泉の藤原一族に難を避けた。しかし兄頼朝は何度も藤原一族に義経を引き渡すように催促した。それでも義経は出てこないので天皇の使いまで差し向けたが義経は鎌倉に行くことはなかった。鎌倉どころか義経には壮大な計画があった。シナ大陸を征服してシナの大王となることである。朝鮮には高麗王朝が栄えており、シナには宋王朝が繁栄しており、まずその周辺の蛮族である女真族から蒙古満州族あたりを征服し、それから宋に攻め入るという遠大な計画を立てていたのだ。これらの情報は藤原一族の青森の十三湖で大陸貿易を営む安東水軍から十分得ていた。義経は大陸の話を聞くごとに胸がおどった。自分を受け容れる場所は日本にはない。
この計画に基づいて綿密な作戦が練られた。それはまず蝦夷地にわたり兵を調達する。それから安東水軍の船で沿海州に上陸し、蛮族を征服して軍団をつくる。満州の地はシナの万里の長城外であり多くの馬賊が支配しており、国のようなものはなかったのでここで一戦して馬賊征服を考えたのである。鎌倉には藤原一族と決戦し討ち死にしたように装い、身代わりの首（焼き首）を送った。義経一向は蝦夷地に渡ったのである。蝦夷地に渡った義経一団は総勢１０名ほどであった。これは蝦夷地を征服するに十分な人数であった。義経にとって蝦夷地はあたかも無人の野をいくようなものであった。しかも蝦夷と取引のある安東水軍の手引きがあるから逆らうものもいない。当時のアイヌの武器は弓(やじりは石）くらいであり、鎧も無く鋭利な刀もない。刀は本土貿易で得た鉈の様なナマクラであり、日本刀には比べるべくもない。義経は平泉にいるころから蝦夷行きは計画していたので周到な準備をした。まず鎧を金箔で被い、太刀も黄金つくりとし、馬も連れていくことにした。馬は白馬をみつけ鞍などすべて黄金つくりとした。白馬にまたがった黄金の鎧に身をつつんだ義経は神とみまごうばかりの神々しさであった。自らを（ホンカン）と名乗り弁慶・藤原の公久ほか藤原氏の豪傑で傍をかためた。安東水軍の手のものによりアイヌの大酋長コカタンに話はついていた。倭人の大王が蝦夷地にくるというのだ。この大王の目的は蝦夷地の征服ではない。蝦夷地の勇者の力をかりて沿海州にわたり満州蒙古の大王となるためだと、説明してあった。義経一行が蝦夷地についたときコカタンは驚いた。アイヌは馬にのる習慣はないから白馬にまたがり、黄金の鎧に身をつつんだ義経をみたとき、ひれ伏したのである。「カムイ・カムイホンカン」このようにして、義経は蝦夷地に於いてアイヌを屈服させたのである。二年の歳月を蝦夷地ですごした義経は、義経が奥州平河で討ち死にしたと鎌倉に報告されたのを聞くと「これでよし。わし義経は死んだ。これからはホンカンでいく」と部下の者に倭人であることを一切禁じ、それぞれわけのわからない名前をつけたのだ。沿海州にわたる時には安東水軍の手勢が１００名ほど合流することになっていたので蝦夷地に来た安東水軍の猛者１００名とアイヌの屈強な青年１００名で２００名の軍団ができた。
ホンカン軍の誕生である。ある夏の日、義経一行は海をわたった。大陸を征服しシナの大王となる。もはや日本は兄にまかせて大陸の王者になる。この義経の壮大な野望に一行は身震いし偉大な大将にめぐり合えた喜びを噛み締めたのである。義経は自分の軍事的な才能を知っており、安東水軍から得た情報を分析し、どこからどうすればシナを征服できるかを考えていた。アイヌから得た知識は毒矢の知識である。義経の軍略と毒の知識。これがやがて十分に役に立つ時がくる。蒙古の大王ジンギスカンの誕生である。
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かく戦えり。近代日本
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