2007年05月22日
安東水軍と義経
三内丸山遺跡見学の帰りに奥州平泉を見学する予定であったがスケジュールの関係で今回は実現できなかった。兄、源頼朝(１１４７年〜１１９９年）に追われた弟、義経は奥州衣川でで打死したことになっているが、この話はどう考えてもおかしなことがある。歴史を考える場合この常識的な見方こそが大事ではなかろうか？歴史とは文献だとか物証だとか史料だとか言う人がほとんどであるが、こういう人達は歴史を鳥瞰するという視点が抜けていることが多い。この義経の話でも常識的な判断をすれば、兄頼朝が再三の催促(鎌倉に義経を引き渡せ）しているのに軍勢が押しかけてくるまで、待っていたのか？という疑問がのこる。もし、僕だったら絶対に兄の鎌倉軍勢がくるまで待っていたりしない。ましてや義経は戦の名人であり、この戦が勝てるか負けるかなど判断できるはずであり、兄に勝ちたくもなかったはずである。しからば逃げるはずである。これが常識というものです。ではどこに逃げればよいか。
当然蝦夷地(北海道）ということになる、ここは鎌倉幕府の力が及ばない化外の地である。しかし、蝦夷地に逃げてもまだ安心はできないはずだ。もう一歩すすんで大陸に逃げれば鎌倉幕府は絶対に追うことはできない。この常識にたって義経をみれば安東水軍の存在が浮かぶ。青森県の日本海側に位置する十三湊を本拠地にした安東水軍とは(五所川原市観光協会資料による）『平安時代の終わり頃、12世紀に作られた十三湊は、15世紀後半までの長い年月を国際貿易港として、環日本海社会の中心都市として栄えてきました。そして、海外との交易を深め、十三の繁栄を支えていたのが、今では謎の人物とも言われる安東氏の存在でした。安東氏の先祖にあたるのが、平泉奥州藤原氏と共に激動の時代を生き抜いた安倍氏です。現在の奈良県と大阪府に連なる「生駒山」には、安日彦（あびひこ）・長髄彦（ながすねひこ）兄弟を長とする一族が住んでいたと伝えられていますが、神武天皇の東征によりその一族が崩壊、神武天皇の手が届かない津軽まで落ちのびてきたと伝承されています。その子孫であるのが安倍貞任です。
安倍貞任は、1060年に敗死し、当時3歳であった第二子の高星丸（たかあきまる）が乳母と共にここ津軽へと落棲、後に安東氏を起こした始祖と言われています。やがて、安東氏は「十三湊」を本拠地とし、巨大な勢力「安東水軍」率い、十三湊を国際貿易港として反映させていくことになるのです。この安東氏は、鎌倉幕府の北条氏が東北以北の「日本の国境の外」を統一するものとして置いた人物で、十三の役人としての諸権利を北条家から与えられており、幕府がいかに安東氏を重視していたかがうかがえます。そして、幕府や地元はもちろん、アイヌなどの人々ともうまく立ち回り、その発展において欠かせない人物だったようです。しかし、安東氏が築き発展させたと言われるこの十三湊は、日本史にもほとんど現れず、遺跡の発掘調査が行われるまで、言わば知られざる「もう一つの日本」でした。当時、日本のすぐ北には樺太などの少数民族、東北北部から道南にかけての地域が蒙古（元）と高麗（朝鮮）、沿岸州の各国が相互に交流を行い、日本海を中心とした一大文化圏を築いていたのです。そしてその「もう一つの日本」の中心として栄えた場所がここの十三湊だったと言われています。』
これで分かったでしよう。奥州藤原家と安東水軍とは親戚関係だったのです。しかも沿海州などとも貿易をおこなっており海外の事情にも十分通知しており、義経を沿海州に逃がすことなど朝飯前のことだったのにちがいない。しかし諸般の事情を考慮するとまず義経は蝦夷に逃れ手勢を整える準備をし、蝦夷の大王を目指すより（やがては源頼朝と対立する）大モンゴル高原を目指し世界の大王を目指すことに決定したのだ。これなら源頼朝は義経を追えないし、追う必用もない。
兄とも対立しない選択を選んだに違いないのです。是が歴史を見る常識なのです。
※写真は、安東水軍の本拠地十三湖
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