栃木女児殺害:容疑者、女児の画像所持…「面識なかった」

毎日新聞 2014年06月03日 21時56分(最終更新 06月04日 01時17分)

記者会見で勝又容疑者の逮捕を発表する阿部暢夫・栃木県警刑事部長(左端)=栃木県日光市の今市署で2014年6月3日、田中友梨撮影
記者会見で勝又容疑者の逮捕を発表する阿部暢夫・栃木県警刑事部長(左端)=栃木県日光市の今市署で2014年6月3日、田中友梨撮影

 遺体発見から約8年半。当時小学1年だった栃木県日光市(旧今市市)の吉田有希ちゃん(当時7歳)を殺害した容疑で3日逮捕されたのは、栃木・茨城両県警の合同捜査本部が捜査対象者の一人としてマークしてきた男だった。「私が殺害したことは間違いない。有希ちゃんにごめんなさいという気持ち」と供述しているという勝又拓哉容疑者(32)。逮捕の決め手になったのは、勝又容疑者が保有していた有希ちゃんのビデオ画像だった。【猪飼健史、田中友梨】

 勝又容疑者は今年1月29日、偽ブランド品を売る目的で所持した疑いで、母親と共に商標法違反容疑で逮捕された。現在、宇都宮地裁で公判中だ。

 2年前、勝又容疑者親子を知る古美術商の男性店主の元に、捜査員が訪ねてきた。「女児殺害事件を調べている。この2人を知らないか」。見せられたのは親子の写真。店主はプライベートな付き合いはなく、「仕事で関わったくらい」と答えた。捜査本部は長期にわたり、勝又容疑者周辺の捜査を行っていた。

 警察庁科学警察研究所が実施した、犯人像を科学的に推定するプロファイリングの結果は「30歳未満の男で、連れ去り現場から半径5キロ圏内に居住している」だった。捜査本部は、小児性愛や猟奇趣味、ナイフマニアなど特定の嗜好(しこう)がある人物を捜査。勝又容疑者はプロファイリングに極めて近い人物として早くから浮上した。

 勝又容疑者は商標法違反事件で逮捕された後、有希ちゃんの事件への関与をほのめかした。家宅捜索では、女児の画像や複数の刃物も発見した。捜査本部は供述に基づき、見つかっていないランドセルなど有希ちゃんの所持品を捜したが、発見できなかった。「凶器や被害者の遺留品など客観的な証拠がない」。ある捜査関係者は捜査が前に進まないことへの苦悩を漏らしていた。

 栃木県警今市署で3日夕に行われた勝又容疑者逮捕の記者会見。阿部暢夫・県警刑事部長は冒頭、謝罪の言葉を口にした。「逮捕までに8年6カ月の長期間を要し、ご遺族にご心労をおかけし、多くの県民にもご心配をおかけしたことについて、おわび申し上げます」。一つ一つの言葉を絞り出すように語る姿には、容疑者逮捕の高揚はなかった。

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