聞き手・岩沢志気
2014年6月3日03時00分
安倍首相が、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認を打ち出したいま、改めて「保守」の意義が問われている。かつて自民党で保守本流を歩んだ元衆議院議員加藤紘一氏は、首相の姿勢を批判している。保守とはいったい何なのか。加藤氏に尋ねた。
■首相は非論理的
――安倍首相は憲法解釈の変更で、集団的自衛権の行使を認める考えを示しました。
安倍さんがなんであんなに、やみくもに必死になっているのかが分からない。
――解釈改憲で集団的自衛権の行使容認することに反対ですか。
(安全保障での)フリーライド(ただ乗り論)は国際社会で風当たりが強い。一方、憲法改正にはものすごいエネルギーがいる。解釈改憲で道を開くのも一つの手だと思っていた。
だけど、だんだん「このままいくと歯止めが利かなくなるかも」と思うようになった。立憲主義でやったほうがいいなと。
――なぜですか。
A級戦犯を合祀(ごうし)してから昭和天皇は靖国神社に行かなくなった。それなのに、安倍さんは「日本の心」と言って靖国へ参拝する。陛下に失礼だと思うよ。矛盾したことをやりながら、それが平気で世の中に通っていく。これは危ないなと。
論理的に考えたのではないと思う。「戦後何十年も、革新の連中、威張りやがって」と、いわゆる「革新勢力」に対し、復讐(ふくしゅう)戦をやっているんだと思う。
――憲法改正で対応すべきだと。
ええ。やるならやはり大論議が必要。徴兵制の議論もしなければならない。それでも「アメリカと一緒に鉄砲を持とう」と決心したのなら、私は間違いだと思うが、これは民主主義だからしょうがない。
いま、僕の三女には、2歳になる男の子がいる。議論もないうちに間違えて、その子に戦争に行けとなる。その子が戦争で殺されるなんて考えただけでも許せない。
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