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03 Jun 2014 15:40

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厳戒「総選挙」、AKBビジネスモデルは“成熟”へと変化できるか

産経新聞 6月1日(日)9時7分配信

 AKB48のメンバーらが刃物で男に切りつけられた事件を受けて実施が危ぶまれていた6月7日の「AKB48 第6回選抜総選挙」が予定通り開催されることになった。事件後、AKBとNMBなど姉妹グループには、握手会の延期やAKB48劇場の休館など深刻な影響が出ているが、総選挙は握手会と並んで「会いに行けるアイドル」を体現する看板イベント。AKBの今後の展開を占ううえでもいつも以上に重要な総選挙となりそうだ。(安田奈緒美)

■“2つの心臓”2つとも止めるわけにはいかぬ

 岩手県滝沢市で起きた事件は「会いに行けるアイドル」の活動に大きな影響を与えた。東京・秋葉原の劇場は31日まで休館が決定。また31日の愛知・ナゴヤドーム全国握手会と、6月1日の千葉・幕張メッセでの劇場版個別握手会も相次いで延期が発表されている。

 そんな中、AKBは28日、公式ホームページ上で、「総選挙」について「予定通り開催の運びとさせていただきます」と発表。AKBのCDを発売しているキングレコードの関係者は「会いに行けるアイドルAKB48にとって握手会と総選挙は2つの心臓。2つとも止めるわけにはいかない」と心情を吐露する。

 運営側は「会場内警備員の増員、金属探知機による入場時のチェック強化、持ち物検査の強化などを全会場にて実施してまいります」としている。ただ、総選挙は5万人近くを収容する「味の素スタジアム」(東京都調布市)で開かれ、警備強化によって入場時間がこれまでの倍以上かかり新たな混乱を招く可能性もある。

■気丈に「ポスト大島」争う姿勢

 総選挙は今年で6回目を数えるが、特に今回は、AKB草創期から人気を支えた大島優子の卒業が決まっているとあって、新時代の“顔”を決める大事な選挙だ。そこへ起きた襲撃事件。メンバーや関係者はショックを引きずりながらも、動揺を表に出さないよう気丈に振る舞っている。

 さて、そのトップ争いだが、昨年、大島を押さえて1位になって2連覇を狙うHKTの指原莉乃や、公式ガイドブックのセンターに起用されたNMBとAKBを兼任する山本彩、新シングル「ラブラドール・レトリバー」のセンターを務めたAKBの渡辺麻友らの名があがっている。

 新曲キャンペーン中の大阪で、チームKキャプテンの横山由依は「優子さんのいないAKBは今、考えられない。ちょっといないだけで、すぐ帰ってくるような気がしている。でも、これからはメンバーそれぞれ向上心を持って新時代を迎えられたら」と話し、大島卒業後のAKBをどう発展させていくかを強く意識していることを訴えた。

 一方、「新世代」として注目されている西野未姫も「若い私たちが前に出て行かないといけないと思う。これまでと変わったAKBを楽しんで見てもらうには、私も自分の存在を印象づけていきたい」と話していた。

■“成功の方程式”崩れたら…

 事件の衝撃が収まらない中、存在意義をかけて“強行”されることになった総選挙。今後、「AKB商法」の見直しを迫られるのは必至だが、そう簡単にはいきそうもない。

 AKBを経営学的の観点で論じる西尾久美子・京都女子大学教授(経営学)は「AKBはアイドルという虚像、偶像に会えるという、相反する事象を同時に成立させている希有な例。他のアイドルとは差別化して成功してきた」と指摘した上でこう話す。

 「AKB商法を支えてきた握手会の中止、延期が続けば、他との差別化が図れなくなり、ビジネスの根幹を揺るがす」

 もう一つの看板イベント・総選挙についても、「1年間の成果が見える透明性の高いシステムで、少女たちのモチベーションにつながる仕組み。その選挙がなくなるようなことになれば、当人たちや、応援するファンの動向に影響するのは必至」という。

■「会いに行ける」貫くか、「距離感」設けるか

 “二枚看板”はどうなるのか、そしてAKBはどこへいくのか−。

 京都の花街が350年続いてきた理由を経営学の立場から研究してきた専門家である西尾教授は、AKBと花街、そして宝塚歌劇団を比較した論文も発表しており、「少女を短期間で育成して公演を行い、次々と新しい世代を取り込む方法に類似点がある」と指摘する。

 ただ、花街や宝塚歌劇団は「一見さんお断り」や「ファンクラブによる自主規制」などで客やファンとの“絶妙な距離感”も保ってきた。

 「宝塚は100年、花街は350年続いている。その長い年月の間に組織運営や人材育成の仕組みを作り上げた。AKBもいまのビジネスモデルを成熟させていくためには、仕組みの変化を模索する時に来ているのではないか」 

 これまで通り「会いに行けるアイドル」路線を貫くのか、ファンとの間「距離感」を設けるのか。運営側は正念場を迎えている。

最終更新:6月1日(日)9時7分

産経新聞

 

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