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サッカー日本代表コラム
キプロス戦とはうってかわり、攻撃で違いを生み出すとともに、柿谷曜一朗とのセレッソコンビでゴールも決めた香川真司。
photograph by Getty Images
日本代表、2014年ブラジルへ

コスタリカを後半3点で逆転した日本。
「走らせる」スタイルはW杯で通じるか。

二宮寿朗 = 文

text by Toshio Ninomiya

photograph by Getty Images

 涼しい風がタンパのピッチを気持ち良く揺らしていた。

 ブラジルW杯に出場するコスタリカとの6月2日のトレーニングマッチ。前半は0-1、後半は3-0。数字だけ見れば、前半が今ひとつで、後半が特に良かったようにも見える。すっかり日焼けした顔でレイモンド・ジェイムズ・スタジアムの会見場に入ってきたアルベルト・ザッケローニ監督は、満足そうな口ぶりで試合を振り返った。

「個人的には前半のパフォーマンスは悪くなかったと思っている。総体的に言えば、日本が主導権を握りながら試合を進めていた。前半からボールを動かし、相手を動かしていった結果、相手が落ちた。前半を評価してあげることが大切で、私は前半に出たメンバーについても満足している」

 いい前半があったからこそ、いい後半を迎えて逆転につながった。大雑把に言えば、そういう見解であった。

チャンスを与えられた選手たちがピッチで躍動した。

 日本は5月27日のキプロス戦から先発メンバーを入れ替えてきた。「本番に向けたコンディションのプログラムがあるので、それを実行していく。出場時間の制限であるとか、そういったところに気をつかっていく」と前日会見で語っていたとおり、調整重視の起用だった。

 今回、左サイドバックで起用を考えていたと思われる酒井高徳が右ひざ痛から出遅れているためにセンターバックの今野泰幸を配し、ボランチには青山敏弘を起用。右サイドハーフに大久保嘉人、そして1トップに大迫勇也を先発させた。ベンチにも入らなかった長谷部誠については「疲れているので休ませようと思った」と指揮官は説明している。

 チャンスを与えられた選手のエネルギッシュな動きが目についた。

 前半早々に大久保がミドルシュートを放ってゴールに対する意欲を見せると、青山は特長であるクサビの縦パスを積極的に試み、大迫もポストプレーで存在感を発揮する。前半11分には大久保が右サイドを突破して香川真司にパスを送り、大迫のシュートにつなげている。大迫はボールを収めると、少ないタッチで動かしてスピードアップするシーンが多く、5バックで守るコスタリカ守備陣を揺さぶった。ゴールにこそ結びつかなかったものの、指揮官の心にはしっかりと届いていたようだ。

【次ページ】 またも出た「悪癖」と、焦らず押し返した功績。

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