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» 2014年06月03日 19時41分 UPDATE

Appleの「Health」、将来性に期待の声 今年のWWDCは開発者にフォーカス

AppleがWWDCでiOS8などを発表。今のところ大きなサプライズに欠く内容だが、今年は開発者によりフォーカスしているようだ。(ロイター)

[サンフランシスコ 3日 ロイター]
REUTERS

 米Appleは6月2日、健康データや自宅に関するデータを収集、分析するモバイルアプリを発表し、年次開発者会議WWDCの幕を開けた。Appleが開発中の新製品について一端でも垣間見たいとの期待は高いが、今のところ今年のWWDCは大きなサプライズに欠く内容となっている。

 集まった数千人の開発者を前に、Appleのティム・クックCEOとソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏は、Mac OSの最新版「OS X Yosemite」とiPhoneやiPad向けOSの最新版「iOS 8」の新機能について説明した。

 Appleの株価は0.7%値を下げ、628ドル65セントで取引を終えている。

 投資家は、クック氏が「新しい製品カテゴリを生み出す」との約束を果たすのを心待ちにしている。5月28日には、Appleのインターネットサービス担当上級副社長エディ・キュー氏が「今年後半に過去25年間で最高の製品ラインナップを用意している」と語っている

 独コンサルティング会社Newscopeの開発担当ディレクター、ニルス・カスブ氏は、新たに発表された健康データの管理機能について次のように語る。「HealthKitには将来への大きな可能性がある。われわれも含め、医療業界に関心を持つ向きはデータ共有プラットフォームを必要としている」

 Apple幹部は2日、iPhoneやiPadの各種のヘルスケアアプリから集めた血圧や体重などのデータを一元管理するための新機能「HealthKit」を発表した。さらに同社は、健康管理アプリ「Health」をiOS 8に統合する計画も明らかにした。

 AppleはHealthアプリの開発でスポーツ用品大手のNikeや総合病院Mayo Clinicと協力し、最新版のモバイルOSに搭載する方針という。

 「こうした健康データは今はばらばらに存在しており、1カ所でまとめて管理できる状態にはない」と、フェデリギ氏は語る。

 Appleはそのほかの詳細については明らかにしていない。このニュースに先立ち、韓国Samsung Electronicsは先週、健康データを管理するためのモバイル端末のリファレンス設計を発表している。

 フェデリギ氏はさらに、家の照明や温度などのデータをすべてAppleのデバイスで制御するためのスマートホームアプリ「HomeKit」も発表した。

開発者向け

 AppleはIT業界で最も熱心なソフトウェアコミュニティーの1つを持ち、現在の登録開発者数は900万人を超えている。AppleとライバルのGoogleは毎年のようにOSを改良し、多数の開発者候補に最新の強化点をアピールしている。現在、GoogleのAndroid搭載端末は世界で販売されているスマートフォンの5分の4を占めるとみられている。

 なおAppleの発表によれば、Yosemiteでは「Box」や「Dropbox」に似たインターネットストレージアプリが大幅に改良されるほか、iPhoneへの着信をMacで受けたり、Appleデバイス同士を常に同期することでMacで作業中の内容をそのままiPhoneで続けたりといったことが可能という。

 最先端のコンシューマーデバイスや新機能の発表はほとんどなかったが、アナリストによれば、今年のWWDCのフォーカスは、効率アップした新しいプログラミング言語「Swift」などのツールを開発者に提供することにあるという。

 Forresterのアナリスト、フランク・ジレット氏は次のように指摘する。「Appleにとって開発者は運命を左右する存在だ。開発者やコンテンツ作成者に“素晴らしいもの”を作ってもらう必要のあるシステムがますます増えてきている」

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