Share...
03 Jun 2014 12:14

ここから本文です

アイドルと政治家の警護は難しい -東猴 史紘

アゴラ 5月28日(水)12時16分配信

AKB48の握手会で刃物を振り回し、メンバーとスタッフに負傷を負わせた殺人未遂事件が起きた。今までもメンバーへのセクハラ行為や猥褻行為などが握手会運営上の問題になっていたが、殺人未遂は初めてである。命に別状がなかったのが不幸中の幸いだ。

ネット上では警備の不備が指摘されている。アイドルに限らず、政治の世界でも要人の身に危険が伴った事件が起きたとき警備の甘さが槍玉にあがる。最近では、小泉元首相の自宅に女性が無断侵入していた事件は警備の甘さが指摘された。しかし、現実問題としてアイドルと政治家の警護、警備は困難極める。理由はアイドルも政治家も”握手”が重要な時代だからだ。ファンの方や有権者の方との接触は必須なのである。

私は先々月、とあるグラビアもやっている女性タレントさんの握手会に参加した。写真集を発売したその記念イベントである。そのタレントさんとはプライベートの友人ではあるが、握手会に並んだのは初めてだったのでその独特の雰囲気に圧倒された。列に並んでいると、やはりアイドルファンといった雰囲気の男性が多々おられた。一応、防犯上の観点から握手するブースに入る前には荷物を置くボックスが用意される。しかし、それは十分な防犯には当然ながらならない。ボディチェックもないのでポケットに何か忍び込ませていれば事件は起こる。
私の前にはぬいぐるみを被った男性が並んでいたが、企業窓口であれば中身の人間をチェックするはずだが、リピーターの方だろう、チェックはなく握手のブースまで入ることができていた。中身が別人だったら事件は起こる。すべてのアイドルがAKB48のように警備に予算が割けるグループではない。アイドルヒエラルキーのトップに君臨するAKB48の警備はむしろ最も厳しいはずだ。普通のアイドルや地下アイドルはそんな予算は割く余裕はない。

また、議員秘書時代に某選挙区の後援会イベントの責任者を務めたことがある。ゲストは当時の大臣である。イベントの開始時間1時間前くらいになると大柄のSPが事前に会場のチェックにくる。ライフル銃の攻撃に備えるのだろうか、窓の外を入念に確認する。そしてトイレや会場の中を丹念に見て回る。そして時間になり、エレベーターから大臣が入ってくる。私は大臣の胸にリボンを付け、会場の皆さんに拍手で迎えるよう演出する。

数人のSPが周りを常に見渡し、外から怪しい行動があればすぐに大臣を保護しに走るだろう。しかし、これだけのSPの警備にも大きな穴がある。そのイベントに参加してきた後援会メンバーやチラシを見てやってきた有権者の方はノーチェックなのである。当然だがボディチェックすらしない。さすがに大臣が話しているときは静まっているので、行動には起こさないにしても、講演が終わり、懇親会になったときは事件を止めることはSPであっても難しいだろう。SPも大臣から少し離れた状態になっているからだ。さすがに、SPが大臣に「参加者の方には近づかないでください」とは言えないのだ。大臣や党要職にはSPはいるが、それ以外の国会議員や地方議員にはSPすらいない。

SNSなどインターネットの活用が進み、直接会わなくても外部にメッセージを届けやすい時代になった。が、逆にそんな時代だからこそ、リアルに会う価値が皮肉にも上がってしまった。大物小物限らず、今のアイドルや政治家にとって「1万のアクセスより1人の握手」が大切な時代なのだ。益々警備は難しくなる。


東猴 史紘
元国会議員秘書
http://ameblo.jp/toukou-fm

東猴 史紘

最終更新:5月28日(水)12時16分

アゴラ

 

記事提供社からのご案内(外部サイト)

アゴラ-言論プラットフォーム

アゴラ研究所

毎日更新

無料

著者によるダイレクト出版という形で、インターネットより広く著者を公募し、個別に審査。質の高い原稿を電子化し、出版を行っています。