Updated: Tokyo  2014/06/03 19:00  |  New York  2014/06/03 06:00  |  London  2014/06/03 11:00
 

ECBが量的緩和なら一緒に買い進め-日米が示す投資必勝法

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  6月2日(ブルームバーグ):中央銀行が買う時は、投資家もその流れに乗って行くのがいい。これは米国と日本の量的緩和(QE)の例が示している教訓だ。欧州中央銀行(ECB)がQEを開始した場合、投資家はこれに従うのが良いだろう。

ECBが年内にQEを開始するとみる専門家はほとんどいないが、ソシエテ・ジェネラルは例外だ。ソシエテはECBが年内に3000億ユーロ(約41兆7000億円)相当の資産を購入すると予想する。購入の対象は資産担保証券(ABS)とユーロ圏が合同で発行するクライシス債、その他の民間資産だろうという。BNPパリバとシティグループもECBが今年、国債を購入するとみている。

このような予想の背景には、ECBのドラギ総裁が懸念する低インフレの負の連鎖を防ぐには利下げと銀行への流動性供給だけでは不十分だとの見方がある。

ではECBが実際に資産購入を開始したら投資家はどう対応すればよいだろうか。ソシエテは米国と日本の例からヒントを得ようとする。2003年8月-06年9月までの日本のABS購入と08年11月以降の米国の3回の量的緩和(QE)の双方に共通する3つのパターンが見られるという。

QEで株高・債券安に

第1に、QEは債券から株式への資産再配分を引き起こす。日本の場合これは、日本銀行が3兆8000億円相当の購入を行った期間中にMSCI日本指数の76%上昇につながった。

米国ではS&P500種株価指数が10年3月までのQE第1弾で36%、10年8月-11年6月までの第2弾で24%、12年9月からの第3弾で29%上昇した。ソシエテのストラテジスト、、アラン・ボコブザ、ゲール・ブランシャー両氏が先月のリポートで指摘した。き

第2に、10年物国債利回りが上昇する。それぞれのQE期間中に日本は71ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、米国は合計212bp程度上昇した。これは逆のように感じられるかもしれないが、購入が成長とインフレ率を押し上げる結果として長期金利が上昇するとボコブザ氏は説明した。

QEは銀行セクターを支援  

第3に、QEは銀行セクターを支援した。日銀がQEを開始した後に日本の銀行株は大きく改善し銀行の信用リスクは低下した。米国でも銀行株のパフォーマンスが安定した。

このような先例に基づきソシエテは、ECBがQEを開始した場合に次のような投資戦略を勧める。

ユーロ圏諸国の株式を他の地域に比べて「アウトパフォーム」に位置付ける。また、米国の例ではQE時には工業株と裁量的消費関連株が市場平均並み以上のパフォーマンスとなり、生活必需品と公益株、通信株が平均を下回るという。

危機の中心だったギリシャやスペインなどの国、また影響はより小さかったがフランスも、中銀の資産購入が経済活動を支援するため株と債券相場は上昇する。また、銀行業界の見通しが改善することも予想される。

こういうこと全てが起こるために、ドラギ総裁が小切手を切り始めるのを待つばかりだ。

原題:Buy With Central Banks Is U.S.-Japan Lesson for ECB QEScenario(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Hertling jhertling@bloomberg.netPaul Gordon, Anne Swardson

更新日時: 2014/06/02 22:58 JST

 
 
 
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