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特集 子宮頸がんワクチン

 「娘が、母親の私に向かってこう言いました。『お母さんを一緒に探して欲しい。お母さんはどこに行ってしまったのだろう、心配だ』と」――。

 子宮頸がんワクチンによる重篤な副反応に苦しむ被害者らが5月29日、参議院議員会館で「子宮頸がんワクチン院内集会『聞いてください!被害者の声』」を開いた。東京都や神奈川県のほか、北海道から参加した被害者やその家族から語られた壮絶な闘病生活は、甚大な被害をもたらしている副反応の実態を浮き彫りにした。

 この日、北海道美唄市から来た佐藤美也子さんは、16歳になる娘、Aさんの症状を涙ながらに訴えた。

  • 記事目次
  • たった1回の接種で40もの症状
  • 知的障害という副反応
  • ワクチンとの関連性を疑わなかった
  • 「私を消してほしい」と叫ぶ娘
  • 被害者を装っているのではないかと疑う医師たち
  • 2月、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会・北海道支部発足

  • 主催 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会、薬害対策弁護士連絡会、薬害オンブズパースン会議

たった1回の接種で40もの症状

 Aさんは子宮頸がんワクチンが定期接種化されて間もなくの2013年の5月に、ガーダシルを1回だけ接種した。たった1度の接種ではあるが、現在、約40ほどの症状に苦しんでいるという。

 「その中でも深刻な症状が記憶障害です。自分の名前が分からない、家族のことも分からない、漢字やカタカナが書けない、1から10まで数えることができません」

 佐藤さんは、子宮頸がんワクチンがまだ任意接種だった頃、市の保健センターから案内が来ても接種は控えたという。副反応被害が海外で報告されていたことを知っていたからだ。しかし2013年4月、同ワクチンが定期接種化されたことで、「高校1年生までに必ず接種をしてください」とか書かれた通知が保健センターから届いた。佐藤さんはそれでも受けさせたくないという思いで保健センターを訪ねると、「高校1年生が(接種対象の)最後なので受けていただきたい」と担当者に告げられたといい、納得できないままAさんに接種させた。

 しかし、予防接種法には「受けるよう努めなければならない」と書かれているだけで、ワクチン接種は義務ではない。「必ず」という表現はミスリードではないだろうか。接種後、「義務」ではなかったことを知った佐藤さんは、愕然としたと話し、悔しさを滲ませた。

知的障害という副反応

 さらに、Aさんは重度の知的障害に認定されているという。

 「知能指数がこれだけ低ければ、高校には入れません。でも娘は確かに高校を受験し、合格し、入学しました。なぜ突然、記憶障害になり、果てには知的障害になるのでしょうか」

 40の症状を抱えているAさんだが、髄液検査の結果、脳炎の状態との診断も受けている。炎症を抑えるために、現在、副作用が伴うステロイドパルス療法を受けているというが、効果がすぐに現れるわけではなく、根治治療でもない。それでも「1日でも、1分1秒でも早く、元の身体に戻し、青春時代を過ごさせてやりたい」という母親の願いがそこにはある。

(※)予防接種法のもと、定期接種については、「予防接種を受けるよう努めなければならない。対象者が十六歳未満の者又は成年被後見人であるときは、その保護者は、予防接種を受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされているものの、これは「努力義務」であって「接種義務」ではない。 ⇒ リンク 予防接種法

ワクチンとの関連性を疑わなかった

 次に登壇したのは、同じく北海道から来た金澤千世さんだ。金澤さんの娘、Bさんは現在17歳。2011年に2回、翌年3月に1回、計3回サーバリックスを接種している。

 子宮頸がんを防げるワクチンが公費で受けられると、学校を通じて案内を受け取った金澤さんは、何も迷わず、Bさんにワクチンを受けさせた。

 2回目の接種後からBさんは、激しい頭痛を起こすようになったという。小児科を受診するも、医師は検査もせず、「肩こり」と診断。金澤さん自身も、受験のストレスが原因かもしれないと受け止めていた程度だったというが、実はその頃からBさんには「夜尿症」が始まっていた。「年頃でもある娘は、そのことを私に隠していました」。娘の症状に気づいてあげられなかった自分を、金澤さんは悔やむように話した。

 看護師になるのが目標だというBさんは、難関だった学校に合格し、下宿しながら高校に通い始めた。3回目の接種後から1年後の2013年の3月に、Bさんが通う学校から金澤さんに連絡が入った。車を2時間走らせ学校に到着すると、真っ青になったBさんが横たわり、目の玉が激しく揺れていたという。その後、病院を受診。メニエール病の疑いがあるとして薬を処方されたが、症状が改善することはなかった。

 同年7月、Bさんに大きな症状が現れるようになった。部長を務めていたというBさんはテニスの部活中、手が大きく動く痙攣が4時間止まらなかったという。翌月8月には痙攣が全身に拡がり、呼吸にまでおよんだ。それでも看護師を目指すBさんは、松葉杖をつき、ぬいぐるみを抱えながらなんとか学校に通い続けた。しかし、学校に行けば発作が起き、倒れ、運ばれる状態を繰り返す。

 そして秋になった10月、「これ以上、がんばらせるのはやめましょう」と先生と相談した金澤さんは、Bさんの休学を決意した。高校2年の半ばのことだった。

「私を消してほしい」と叫ぶ娘

 「全身を痙攣させながら、娘は『自分を消して欲しい、消して欲しい、こんな身体はいらない』と自分を叩いて叫んでいました。それを、主人と一緒に泣きながら抑える、そんな毎日でした」

 金澤さんは、なぜ、Bさんに次々と不可解な症状が起きるのか分からなかった。子宮頸がんワクチンを初めて接種したのは、すでに2年前。ワクチンとの関連性を疑うことはなかったとう。しかし、自身も精神的に不安定になっていた金澤さんは、ある日、安定剤を処方してもらっていた医師から、「子宮頸がんワクチンを受けた?」と聞かれた。これがきっかけとなり、子宮頸がんワクチンの被害者である母親のブログに辿り着いた。

 「このブログに出会い、読み漁りました。被害者の女の子の症状が、娘の症状と一緒だった。何でもっと早く気づかなったのかと、悔しかった」

 その時のことを振り返った金澤さんは、涙を抑えられず、言葉に詰まった。

被害者を装っているのではないかと疑う医師たち

 しかし、ワクチンとの関連性が疑われても、行く病院がなかったと金澤さんは語る。子宮頸がんワクチンの副反応について、知見のある医師はごくわずかだ。

 ある病院の神経内科の医師には、Bさんが詐病しているのではないかと疑われたという。

 「『YouTubeに投稿されている被害者の映像を真似しているんではないか、ワクチンのせいだとお母さんが騒ぐから治らない、被害者の半分以上は詐病だと思う』と言われました。別の医師は娘に向かって、『看護師になるって言ってたのに、そんなんでどうするのよ』と言いました。あんなにがんばって入学した娘に向かって…」

 そして先月、Bさんを新たな症状が襲った。Aさんと同じ記憶障害だ。

 「娘は、『あなたは誰?』という目で私を見ます。トイレがどこにあるかも分からない。食卓に苺を出すと、『これは何? どうやって食べるの?』と赤ちゃんみたいに聞いてくるのです」

 金澤さんは声を震わせながら、「毎日、毎日、新しい症状と闘っています」と話し、最後に、この日の集会に参加した理由を訴えた。

 「娘を主人にあずけて、北海道からここに来るのも不安でした。それでも、何とかしなければいけないと思って来ました。助けてください。苦しいんです。早く治療法を見つけてください。娘に新しい未来を作ってあげたい」(取材・記事:ぎぎまき、記事構成:安斎さや香)

2月、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会・北海道支部発足

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 これまで、IWJが1年以上に渡って取材してきた子宮頸がんワクチン副反応被害の問題は、特集ページにまとめています。被害者本人の少女たちや家族の悲痛な訴えのほか、ワクチンの有効性に対する疑問や、ワクチン製造会社とTPPとの関連性などが分りやすく解説されています。

 政府は現在、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を一時見合わせていますが、接種事業は中止しておらず、再開による被害の拡大も懸念されています。子宮頸がんワクチンが定期接種されることになった背景や、ワクチン推進派の医師たちの衝撃的な発言なども取り上げ、ブログとして掲載しています。 ⇒ 特集 子宮頸がんワクチン

 
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