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いのちの電話 相談員不足が深刻 自殺率ワーストの秋田県

いのちの電話で悩みを聴く相談員(秋田いのちの電話提供)

 全国で自殺率が最も高い秋田県で、自殺予防に努めるNPO法人「秋田いのちの電話」が毎年開く相談員養成講座の受講者が近年、急減している。東日本大震災を機に、ボランティア団体が増えて、人材が流出していることも要因の一つで、宮城などでも同じ傾向がみられる。電話相談件数が減らない中、ボランティア相談員の不足で、適切な対応ができなくなることが危惧されている。

 毎年春の新規受講者は、2010年までは平均60人前後だったが、震災後の11〜13年は平均20人に減った。ことしは14人。電話相談を始めた16年前の約120人に比べると、9分の1程度だ。
 急減の原因を、阿部恒夫事務局長は「受講料を払って無償ボランティアをすることへの抵抗感や、震災後、被災者支援の取り組みやボランティア団体が次々と生まれ、人材が分散したことが背景にある」と分析する。
 現在、交代で電話を受ける相談員は県内に約90人。日中の仕事を持つ相談員も半数以上いる。
 長時間、何度も話を聞き、後日「話を聞いてもらって元気が出た」と、力を取り戻した声が寄せられた事例も少なくない。一方、親の介護や精神的疲労を理由に辞めていく相談員もいる。
 かかってくる電話への対応が追い付かず、電話がつながらないとの苦情も寄せられるという。
 毎年養成講座で、自殺者や遺族の心の悩みについて講演する女性は「自殺防止には、全体的な対策以上に、一人一人と向き合う取り組みが重要」と、いのちの電話の意義を強調する。
 相談に滞りなく対応するとともに、重い話を受け止めた精神的つらさを共有できる仲間としても、相談員の担い手確保が求められている。
 阿部事務局長は「100人以上の相談員を確保したい。県民の多くに、いのちの電話の現状を少しでも知ってほしい」と呼び掛けている。
 秋田いのちの電話の連絡先は018(823)0021(正午〜午後6時)。


2014年06月03日火曜日

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