小寺陽一郎
2014年6月3日09時47分
ネットで注文したのに商品が届かない。そんな相談が増えている背景には、ランキングや格付けを信用しがちな消費者心理もあるようだ。
「対応が最悪」「二度と買わない」。先月11日の母の日の後、ネット通販で花を売るある業者の評判を記したネット上の掲示板。こうした書き込みは、複数の業者で確認できた。
愛知県の自営業の男性(42)は4月下旬、大手ショッピングサイトに出店する業者に花を注文。母の日に離れて暮らす母(69)に届けるためだ。
約10年前からネット通販で花や菓子を贈ってきたがこの業者は初めて。ホームページにはショッピングサイトのランキングで上位に入ったことが掲げられており、「たくさんの人が買っていると分かり安心した」と言う。
だが当日、配送状況がネットで分かるサービスで何度調べてもなかなか発送されない。業者にメールで苦情を伝えると約6時間後に「お詫(わ)び」メールが届き、母の日に届かないことが分かった。「指定日に届くと言うから注文したのに、遅れたら意味がない」
男性が気をもんでいたころ、花を扱うこの業者の男性経営者は青ざめていた。
実店舗を構えずネットで受注し、1万件以上の母の日の注文を数人の担当者でさばく。その1人がシステムへの入力をミスしていたことに直前に気づいた。
修正していると新規注文に対応できず、運送会社との連絡ミスも重なり、数百件が当日中に届かなかった。以前は4月と5月の注文が半々だったが、最近は業界全体として5月に注文がずれ込む傾向も拍車をかけた。「特別な日の贈り物が遅れ、本当に申し訳ない」
過当競争で人手は増やせないが、母の日は年間売り上げの半分以上を占める勝負時だ。その際、最も集客効果があるのは「サイトのランキングだ」と明かす。
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朝日新聞社会部
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