土佐電気鉄道(高知市)の前社長辞任などを受けて高知県などが設けた「中央地域公共交通再構築検討会」は2日、土佐電鉄とバス運行の高知県交通(同)の経営統合を柱にした再建計画を了承した。金融機関は計26億円以上の債権放棄要請に応じ、県など自治体も計10億円の出資を受け入れる。事業を引き継ぐ新会社を10月に設立することも決まり、再建へ大きく動き出した。
検討会が金融機関に求めてきた債権放棄の額は2社の長短借入金75億円のうち、26億~28億円に上る。土佐電鉄の片岡万知雄社長と県交通の前田道雄社長は会合で「債権者であるすべての金融機関から同意を得た」と説明。新会社に必要な金融支援を実施することが決まった。
検討会の委員を務める四国銀行の山本正孝常務は「(債権放棄は)重い内容で苦渋の決断だったが、公共交通の維持を最優先で考えた」と強調した。
自治体側も10億円の出資に応じる。このうち5億円を県が、3億5000万円を高知市が引き受け、残りを南国市、いの町など11市町村が負担する。各自治体は7月中旬までに各議会に議案を提出する。
新会社の設立は10月1日をめざす。7月中旬には新会社の取締役候補者や県、高知市などの担当者らでつくる「新会社設立委員会」を設ける。新会社の社名や役員構成などを協議、決定する。
6月27日は2社の株主総会が控える。県交通の株主数は27だが、土佐電鉄は個人株主が多く2000を超える。今後は2社の株主総会に向けた株主の説得が課題となる。
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