【BOOKセレクト】麻美ゆま著「Re Start~どんな時も自分を信じて~」
昨年2月に卵巣境界悪性腫瘍を患い、卵巣・子宮全摘出、壮絶な抗がん剤治療を乗り越えて、“元気印のゆまちん”が帰ってきた。セクシーアイドル・麻美ゆま(27)の初の自叙伝「Re Start~どんな時も自分を信じて~」(講談社、1620円)が発売された。本には闘病生活だけでなく、家族構成、恋愛遍歴、AV女優になるまでの過程など、「麻美ゆまの27年」が赤裸々につづられている。(江畑 康二郎)
「モンチッチみたいですよね。この髪。人生初のショートヘアなんですよ」と麻美は頭をなでておどけてみせる。決して「ショート」にしたかったわけではない。抗がん剤治療で抜け落ちた髪がようやく伸びてきたのだ。
2005年のAVデビューから約8年、出演作は約190本。テレビのバラエティー番組などにも出演し、人気上昇。08年にスタートしたテレビ東京系の深夜番組「おねがい! マスカット」内で結成されたユニット「恵比寿マスカッツ」では、2代目マスカッツリーダーに選出された。セクシーアイドルとして“トップ”を走り続けた麻美に突然、病魔が襲いかかった。13年2月、ぽっこり膨らんだおなかは、卵巣にできた腫瘍によるものだった。
「赤ちゃんが産めなくなるの? 私の体、どうなっちゃうの。仕事は? 人工肛門なんて絶対に嫌」。絶望の底に突き落とされた。
卵巣と子宮を全摘出。人工肛門は回避できたが、抗がん剤治療が始まった。嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感、時には熱や湿疹、逆流性食道炎になり、地獄のような半年間だった。
「自分が伝えることによって、同じような婦人病で苦しんでいる方々の助けになれば」という思いで、苦い経験を本に包み隠さず書いた。
現在は、2か月に1度通院。術後9キロ減った体重も回復し、今後5年間再発しなければ寛解(完治)となる。
手術の傷痕は約30センチ。AV復帰について「たとえ傷痕を消せたとしても、見てくださる方に『エロ』以外の余計な思いを持たせたらプロ失格」と厳しい見通し。「それに、まだ勇気がないんです。術後、一度も性交渉してないんです」と体力的な不安も口にした。
しかし、闘病生活は悪いことばかりではなかった。なじみの薄かったフォークソング、ジャズ、ブルースなどを聴く時間ができた。最近は、週1回のギターレッスンに通い「斉藤和義さんの『歩いて帰ろう』とか練習してます」。幼少から大好きだった音楽。夢は「ソロライブ」だ。
「AV女優だったことも含めて、27年の人生に悔いはないです」ときっぱり。明るい性格に「強さ」が加わった、ゆまちんの第2章が始まった。
◆麻美 ゆま(あさみ・ゆま)1987年3月24日、群馬県高崎市生まれ。27歳。05年、メーカー2社による異例のAV女優デビュー。映画「桜姫」「探偵はBARにいる2」やテレビドラマなどに出演。158センチ、B88・W58・H88センチ。