特集〜消費税増税は必要ない! from マネーガイドJP

なぜ経団連は消費税増税に賛成なのか?

経団連は企業側の利益追求団体なのに、最近では消費税の増税に賛成意見を述べるようになってきました。過去に消費税の増税が行われた際には、すべからく消費を減退させて景気を冷え込ませています。なぜ経団連は、売上減少が確実である増税に賛成するのでしょうか?

実は(というか当たり前の話ですが)2000年頃までは、経団連は消費税の増税に反対の立場でした。風向きが変わったのは、奥田碩が経団連の会長を務めていた2003年頃からです。奥田は財界の主要人物としてはおそらく初めて、消費税増税を容認(というか推奨)した人間です。当時の小泉首相が「任期中は消費税は上げない」と述べているにも関わらず、何度も増税話を持ちかけています。奥田はトヨタの社長〜会長を歴任しており、消費税が上がれば自動車の売上げに悪影響なはずですから、常識的にはありえない提言内容です。

勿論、そこには裏の目的があります。実は奥田は、国の財政健全化の為に消費税増税が必要だと唱える一方で、企業の国際競争力を増す為に法人税の減税が必要だと訴え、この二つの提言はセットで行われています。要するに、法人税の減税が本来の目的で、その分の財源の穴埋めとして消費税の増税をしろと述べているのです。

つまり、自分たちがもっと儲けたい(*1)ので、足りない分は庶民から搾取しろ!という暴論なのです。トヨタのトップを勤めていた頃より、奥田は「労働者など部品と同じで、安く買い叩いて使い捨てればよい」程度にしか考えない、生粋の市場原理主義者でした。次に経団連の会長に就いたキャノン出身の御手洗冨士夫も、法人税減税と消費税の増税を訴えています。キャノンもトヨタ同様、労働者をこき使うことで有名な企業であり(*2)、御手洗が奥田路線を継承するのは必然の流れでした。

法人税率の軽減こそが真の目的!

そして経団連はマスコミを通じて、消費税増税のプロパガンダ戦略を打ちだします。テレビや新聞に「消費税増税やむなし」という報道をさせる事で、国民に増税が必要な事であるかのように洗脳し、法人税減税への布石を着々と進めています。大スポンサーの「飼い犬」であるテレビや新聞は、彼らの意向に沿うような報道しか行わないので、メディアは増税やむなしという報道一色になってしまいました。何せ奥田が、自分が気にくわない報道に対して「報復でスポンサーを下りるぞ!」と公然と脅しをかけた(*3)位ですから、大手マスコミは誰も彼を批判しなくなりました。

結局は経団連というのは大企業の利益追求を目的とする団体であり、企業が儲かるのなら、労働者・一般庶民が増税で苦しもうと知ったこっちゃ無いという立場なのです。

主要先進国の法人税率(2008年度時点)
国名 日本 アメリカ カナダ ドイツ フランス
法人所得税 27.98% 32.7% 19.5% 15.825% 34.43%
法人住民税等 11.56% 6.55% 14% 14.35% -
合計税率 39.54% 39.25% 33.5% 30.18% 34.43%

実は日本の法人税率が高いという理論もまやかしです。アメリカも日本と同じ約39%の法人税率なのに、世界に名だたる超一流の企業の数多くが輩出しています。カナダやフランスやドイツなども30%を超える税率ですから、日本と大差ありません。ルクセンブルグやシンガポールのような「タックスヘイブン」と比べても意味がありません。同じ先進国・G7の経済大国同士を比べると、実は法人税率は大差ないのです。また、法人税の減税は国際競争力を高めることはなく創業者など大株主が得をするだけです。

つまり、日本企業がグローバル経済で勝ち抜く為には、経団連の言うように法人税率軽減など不要です。要は日本企業がマーケティング能力が著しく低いから、欧米企業に後れを取っているだけに過ぎないのです。

そしてもう一つ、経団連が増税賛成な理由として「輸出戻し税」の存在があります。

 

*1:経営者の多くが大株主なので、法人税の減税は株主〜つまり自分の利益が増えることになる。
*2「厚労省叩き」に「報復」とまで言う/トヨタ奥田発言をメディアはどうする
*3「オフィスに椅子が無い」「早く歩かないと警報が鳴る」 恐怖のキヤノン工場

  マネーガイドJP (C)2009.rh-guide . All rights reserved.