国際
【視線】友好一転、「嫌悪感」受け止めて暮らすグレンデール市の日本人
尋常高等小学校、高等女学校を卒業した廸子さんは看護師になるために東京に向かう。先の大戦が始まる年のことだ。「汽車は『つばめ』とか、『はと』という名前だった。学割が使えるのは3等車だけ。石炭の煙をかぶって、東京に着くころには鼻が真っ黒だったわ」と笑う。
戦争が終わり、連合国軍総司令部(GHQ)が東京の病院を接収し軍病院としたとき、看護師として勤務。その病院で患者として訪れたGHQの弁護士、アーデン・ギンガリー氏(故人)と知り合い、後に結婚した。アーデン氏は米国に戻り、軍を退いた後もロサンゼルスの法律事務所に弁護士として勤務した。3人の子宝にめぐまれ、一家はアーデン氏の実家があったロサンゼルス郊外の都市で暮らした。
その都市と、廸子さんの故郷が後に姉妹都市となった。中河内郡高井田村は布施市に、その布施市が河内市と枚岡(ひらおか)市と合併して東大阪市になる。旧枚岡市が米カリフォルニア州グレンデール市と姉妹提携したのは1960(昭和35)年のことだった。
両市の市長や市議らは相互に訪問するなど交流はさかんだった。74年にはグレンデール市に日本庭園が造成され、大きな茶室「松声庵」も設置された。両市にゆかりのある廸子さんは松声庵の管理に長年携わるなど、両市の交流を率先して進めた。
雰囲気が変わったのは15年ぐらい前。住民の国籍は多様化し、もともと住んでいた人々は少しずつ去り、ニューカマーが取って代わった。行政や市議会も変わり、東大阪市との交流は形骸化していった。
「そうしたら突然、慰安婦像を建てるって…」。昨年夏のことだ。「戦時中から戦後まで『従軍慰安婦』なんていう言葉は聞いたこともなかった。その像がなぜ米国に建てられるのか。なぜ、ここなのか」
関連トピックス
関連ニュース
[PR] お役立ち情報
- 北朝鮮側、訪日に前向き 菅長官「必要なら対応」 拉致再調査合意で 6.2 18:39
- 【海外こぼれ話】逃がさない!6.2 15:48
- 【海外こぼれ話】見ないで!6.2 15:46
- 境-羅津の航路開設で日朝が協議、韓国紙が報道6.2 14:49
- 「総連問題は含まれると考えている」 北朝鮮・宋担当大使、訪日に前向き 6.2 13:20
- 【視線】ソウルから消えた日本人客、今さら「来てね」と言われても6.2 11:36
- 【環球異見】ウクライナ大統領選 米は武器・軍事技術の供与を(ウクライ… 6.2 11:18
- NSA、顔写真を大量傍受 認証システム構築進める 米紙6.2 09:57
- 爆発で40人死亡 ナイジェリア北東部6.2 09:22
- 日朝拉致合意の影響協議へ 米韓代表、北朝鮮核で6.2 09:14
PR
PR