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【社会】

免許証本籍に「北朝鮮」 「朝鮮籍」の在日コリアン

免許証のICチップに対応して機械に表示された本人情報の画面。本籍に「北朝鮮」と表示されている(一部画像処理)

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 運転免許証で「朝鮮籍」の在日コリアンの本籍表示を「北朝鮮」と記したケースが、各地で見つかっている。朝鮮籍は植民地時代の朝鮮半島出身者に便宜的に付与された表記で、北朝鮮の国籍を意味しない。「なぜ北朝鮮と書かれるのか」という当事者の抗議の声を受け、各都道府県警は従来の「朝鮮」という表記に戻し始めているもようだ。

 在留外国人の場合、免許証のICチップに搭載された本人情報の本籍欄には、住民票記載の国籍などが表示される。これまで朝鮮籍の場合は「朝鮮」と記していた。

 ところが本紙が確認しただけでも東京都、千葉県、広島県で、免許取得や更新に伴い、「北朝鮮」と表示された人がいた。警視庁、千葉県警、広島県警は「警察庁の通達に基づき、昨年九月から朝鮮籍の表記を北朝鮮にする変更をした。ところが、抗議や要望があったため、現在は元に戻している」とする。

 取材に対し、警察庁は「道路交通法施行規則の改正に伴い、昨年八月に各都道府県警に運転免許事務システムの運用についての通達を出した」とした上で、「国籍等の名称について、外務省が使用している国名に合わせる改正を行うことにした」と文書で答えた。外務省が使用する国・地域の名称には、「朝鮮」は存在しない。

 ただ、全国の警察に対して、再び従来の「朝鮮」表記に改めるよう指示を出したのかどうかについては、回答しなかった。

 今春免許を取得した際、北朝鮮と本籍を表記された東京都内の男子学生(20)は「朝鮮籍は、北朝鮮の国民を意味するのではない。敗戦後、日本政府が外国人登録制度で分類に使ってきたもの。そのこと自体が植民地支配の結果という歴史的な経緯がある。それなのに国が自ら間違えるなんて」と話している。

 

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