従業員数100人の会社があります。業績は堅調だったのですが、ある日、30人が辞めてしまいました。残る70人のうち30人は65歳以上で力仕事などは任せられません。忙しすぎて、このままでは疲労で倒れてしまう従業員が出てきそうです。急いで求人広告を出しましたが、人はなかなか集まりません。読者の方が経営コンサルタントだったら、この会社の社長にどのようなアドバイスをしますか。
加藤百合子(かとう・ゆりこ)1974年千葉県生まれ。東大農学部で農業システムの研究に携わり、英国クランフィールド大学で修士号取得。その後、米航空宇宙局(NASA)のプロジェクトに参画。2000年に帰国しキヤノン入社。2001年、結婚を機に退社し静岡に移住。産業用機械の研究開発に7年ほど従事したものの農業の社会性の高さに気付き、2009年エムスクエア・ラボ(M2ラボ)を設立。2012年青果流通を変える「ベジプロバイダー事業」で日本政策投資銀行第1回女性新ビジネスプランコンペティション大賞受賞。
一部事業から撤退する。売り場を縮小する。取引先を絞り込む。業種にもよるのでしょうが、今の従業員数で運営できる規模に会社を変える必要がありそうです。そもそも、マンパワーが激減するような事態をなぜ放置したのか、との厳しい意見も出そうですね。実はこれ、どこかの企業の経営危機の話ではなくて、我が国、日本の将来の例え話なのです。
5月13日、政府の経済財政諮問会議の傘下にある専門調査会「選択する未来」が、人口減少による社会構造の変化についての中間報告書をまとめました。報道でご存じの方も多いと思いますが、出生率が今の水準のまま推移すれば、日本の総人口は50年後、現在の3分の2の8700万人まで落ち込んでしまい、さらに東京圏への人口流出も相まって、地方自治体の4分の1以上が消滅する可能性があるという、大変ショッキングな内容です。
私も1月以降、委員の一人として議論に参加してきました。農業関連ビジネスを通じての地域の課題や女性起業家の立場からベンチャー支援のあり方などについて発言しましたが、人口については全くの素人で、その分野に詳しい委員の方の説明に毎回驚き、議論を重ねるにつれ「これは本当に危機的な状況だ」との思いを強く持つようになりました。
人口や出生率に関する議論では、結婚や子育てしやすい環境づくりなど「どうしたら少子化を止められるか」がテーマになりがちです。これはこれで重要なのですが、選択する未来で主に話し合われたのは、もっと深刻な事態についてでした。つまり、あらゆる手を使って出生率を急回復させることができたとしても効果があらわれるのは何世代か先で、今後50年間は確実に人口が減少し続ける。目前に迫る緊急事態にどう対処したらいいか、という議論です。
そして結論は、選択する未来とはいいながら選択の余地がほとんどない「縮退」でした。字の通り、コンパクトな社会システムに縮む。地域郊外部からは退き都市部に集中するという施策です。
従業員数100人の会社があります。業績は堅調だったのですが、ある日、30人が辞めてしまいました。残る70人のうち30人は65歳以上で力仕事などは任せられません。忙しすぎて、このままでは疲労で倒れてし…続き (6/2)
以前のブログで「ワークライフバランスを自分で決められるのが起業家のメリット」と書きましたが、すいません、ちょっと訂正します。「決められる」ではなく「決めないといけない」がどうやら正しい。さもないと、…続き (5/19)
高齢化社会を論じる時に「現役世代が何人で高齢者1人を支える」という表現がよく出てきますよね。財務省によると、2013年は20~64歳の人たち2.3人で65歳以上の高齢者1人を支えた計算だったそうです…続き (5/5)
各種サービスの説明をご覧ください。