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 首都圏各地から日帰りで行ける人気スポット、江の島が「映像バブル」に沸いている。舞台にした人気映画やアニメが立て続けに公開され、ファンの波が絶えない。裏には、さらなる観光振興をめざして撮影の誘致を進める地元・神奈川県藤沢市のサポートがある。

■人口360人、昨年度観光客650万人

 「映画とまったく同じで、素晴らしい眺めですね」。5月初め、相模湾を望む江の島の「龍恋の鐘」を訪れた20代のカップルは感嘆した。天女と龍の恋物語伝説にあやかり、ここで鐘を2人で鳴らせば「永遠の愛」が約束されるという。昨年10月から公開された映画「陽だまりの彼女」で、「嵐」の松本潤さん演じる主人公が上野樹里さん扮するヒロインにプロポーズした場所だ。

 「長野県から参りました。江の島初めてです。陽だまりの彼女、3回見ました」(49歳)、「映画を思い出しながら一周してきます」(25歳)……。観光センターの「感想ノート」には書き込みがやまない。

 原作の同名小説は舞台が千葉県。だが映画は主人公2人を藤沢市出身に、デートの場所を江の島に変えた。「江島神社などパワースポットとして人気の江の島は、霊的要素の濃い物語のイメージにぴったりだった」と制作を担当した「アスミック・エース」の宇田充プロデューサーは言う。

 一昨年は4月から「つり球」、7月から「TARI TARI」と江の島を舞台にしたアニメが放映。ファンが島を「聖地」と呼び、コスプレで歩く騒ぎになった。島限定のサイダー1万本、クリアファイル2千セットはすぐ完売。昨年度の江の島の観光客は藤沢市の推計で約650万人と過去最多を記録した。